赤十字の大学として

建学の精神

スイス人アンリー・デュナンは1859年、北イタリアのソルフェリーノにおいてオーストリア軍とサルジニア・フランス連合軍との戦いに遭遇し、その惨状を目の当たりにし、「傷つき武器を持たない兵士は、もはや兵士ではない。一個の人間として敵味方の区別なく救わなければならない。」と、周辺の住民と協力し、不休で傷ついた兵士の救護に当たりました。これが赤十字の生まれるきっかけとなったのです。

また、日本においては明治政府と薩摩の西郷隆盛を中心とする反政府軍との間に起きた西南戦争の際に、パリの万国博覧会で赤十字の存在を知っていた佐野常民と大給恒の二人が博愛社(後の日本赤十字社)を設立し、やはり敵味方の区別なく負傷者の救護に当たったのでした。

アンリー・デュナン
日本赤十字社 初代社長 佐野常民

学校法人日本赤十字学園の設置する赤十字の各看護大学は、この「敵味方の区別なく」、「人間の生命と尊厳を大切にする」という赤十字の人道の理念に基づいて、将来、看護師や介護福祉士として、人の生命や健康を守るために力を尽くそうと志す人材を育成します。その人たちが、目指す資格を取得するために必要な高等看護教育・介護福祉教育を行ないます。

日本赤十字学園の各看護大学は、卒業生が、卒業後あるいは将来において赤十字のマークを胸に、常日頃から看護師、介護福祉士としてその使命を果たすことに加えて、大規模災害時や、紛争の際に国境を越えて人間の生命と尊厳を守るために活躍することを期待します。

そのため、看護師、介護福祉士資格取得のための技術、知識の修得に加えて、赤十字や国際人道法の基本的知識、災害看護や国際保健等の知識や技術の修得に必要なカリキュラムを準備します。