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おすすめ図書

本でクロス!もっとクロス!

日本赤十字九州国際看護大学の学生、教員、職員が、お勧めの本をリレー形式で紹介していくコーナーです。勧められた本を通して新たな興味や関心が広がり、人との新しいつながりも広がります。
ルール


助手 中平紗貴子先生 から1年生 永翁華歩さん へおすすめ

考える練習をしよう

マリリン・バーンズ, 晶文社, 1985.

 この本を読んでみようと思ったのは、どうしたらもっと考えられるのか?と思ったことがきっかけでした。子ども向けの本と思いきや、なかなか深い本でした。読んでみてすっきりはしません。むしろ考えます。しかし、それこそが私の求めていた感覚だったのかもしれません。なぜなら、どうしたらもっと考えられるようになるのか?と思っていたのだから。その通りになったというわけです。
 私は、この本の文章もさることながら、描かれているイラストも気に入っています。随所に面白い挿絵が登場します。この絵がまた考えさせてくれる。しかし、苦ではない。看護者は、対象となる患者さんやご家族、一緒に仕事をする多くの方々と接します。その対象は年代も様々、置かれている状況も人それぞれです。そのため、相手のことを理解する努力、すなわち他者の考えを知り理解すること、自分とは異なる価値観を知る必要があります。どんな仕事でもそれは必要なことかもしれません。しかし、とりわけ看護者はその部分において、高いコミュニケーション能力が求められると思います。相手を知るばかりではありません。同時に、自分自身のものの見方、考え方の特徴、価値観を知っておくことも大切であると考えます。
 私たちは、看護師である前に、一人の人間です。人としての成長にもつながる一冊だと思います。

20150522 中平先生(画像)

 あなたには何が見えますか? (『考える練習をしよう』p28より引用)

1年生 永翁華歩さん へメッセージ

 入学して間もないので、私よりもフレッシュな感覚な永翁さん。あなたにはこの本で何を感じ、何を考えますか?

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助手 中平紗貴子先生 へ

  『考える練習をしよう』という本を勧めていただきありがとうございます。
  フィールド体験実習の際に本の内容を簡潔に教えてくださり、考えるって言われてみても「うーん。どう説明すればいいの?」という感じでした。しかし、絵と一緒に本を読み進めていく中で、いろんな視点から一つのものを見ていくというのを学びました。看護師を目指していく中で一つのことにとらわれることがなく、仲間のいろいろな意見に耳を傾けていこうと思いました。
  この度はこの本を紹介していただきありがとうございました。

1年生 永翁華歩さん から1年生 服部瑶子さん へおすすめ

人は見た目が9割

竹内一郎, 新潮社, 2005.

 先日の初めての病院実習でコミュニケーションの重要性を看護職者から学んだ今、どんな看護師になりたいか・・・という大まかな目標ができたと思います。実習後、看護職者にはコミュニケーション以外にも「見た目」というのが関わってくるのではないかと思いました。そこで、「見た目」ということに関して調べていくとこの『人は見た目が9割』という本を見つけました。話している言葉の内容がどれだけ相手に伝わるかという驚愕の研究結果や、女の人の嘘にどうして騙されてしまうのかなど、一見看護とは関係ないようですが、読んでいくと自分自身考えたことがあるような身近な内容(例えば、前髪を上げおでこを出している女性はできる女に見える!!!)について根拠に基づき説明しています。この本を読んで、人にどう見られるべきか、見られたいかと考えてみてもいいのではないかと思います。

1年生 服部瑶子さん へメッセージ

 私がこの本を読んでいるときに、興味深そうに見ていた服部さんへこの本を紹介させてください!看護師を一緒に目指していく中で、見た目も重要になってくると思っています。この本を読んでどんなことを服部さんは考えますか?

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1年生 永翁華歩さん へ

 永翁さん、『人は見た目が9割』という本を紹介いただきありがとうございます。この本を読んで、人の行動の意味や、自分の見た目について考えさせられ、今までの自分の常識が変わりました。これからは、もっと見た目に意識して生活していきたいです。この本は読み進めるのが楽しく大変面白い本でした。紹介ありがとうございました。

1年生 服部瑶子さん から准教授 濱元淳子先生 へおすすめ

人は見た目が9割

竹内一郎, 新潮社, 2005.

 私は、永翁さんがこの本を読んでいるときに、内容を聞くだけで「面白い!読んでみたい!」と思い、読んでみました。
 この本は、人は見た目で判断するということを元に、私たちが普段している何気ないしぐさや、行動が相手にどういう風に見られていたのか、どういう意味を持っていたのか、恋愛の距離、など興味深い内容が盛りだくさんです。読んでいくと「え、そういうことだったのか!次は!?」と先が気になり、あっという間に読んでしまうと思います。
 この本を読んでみて、今まで「人は見た目じゃないよ!」と言われてきたけれど、そのことが覆されました。
 常に人とかかわる看護の仕事の中で、やはり、内面だけでなく、見た目の重要になってくると思うのでこの本を読んで、見た目について、考え直すのもいいかもしれません。
 大変面白い本なのでぜひ読んでみてください。

准教授 濱元淳子先生 へメッセージ

 友人と、看護師は見た目も大事という話をし、臨床経験のある濱元先生にこの『人は見た目が9割』という本を読んでいただき、どう考えられるのかお聞きしたいです!よろしくお願いします。

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1年生 服部瑶子さん へ

  服部さん、お勧めありがとうございました。
  救急外来に勤務していた頃、患者さんを見た瞬間に「んっ?何だか様子がおかしいぞ」と気づくことが沢山ありました。救急看護師は、患者さんと話す前に、その様子を見て病態の緊急度や重症度を判断します。これを看護用語では「第一印象の評価」といいます。まさに「見た目」です。患者さんが言葉では発していない体調不良のサイン(バイタルサインの異常)を察知できる能力が、看護師には求められています。
  同時に、患者さんも私たち看護師を「見た目」で評価しているのだと思います。「忙しそうな顔しているな」、「怖そうな顔しているな」、「話しにくそうだな」などなど。看護師も人間・・・持っている知識や技術といった“中身”で勝負したいところですが、やっぱり第一印象で判断されることが多いと思います。・・・もちろん教員も・・・ですね。気をつけます。

准教授 濱元淳子先生 から教務課 榎本夏子さん へおすすめ

外科の夜明け: 防腐法-絶対死からの解放

J・トールワルド著, 大野和基訳, 小学館, 1995.

  麻酔が存在しなかった150年ほど前の時代、患者さん達は、苦痛のあまり絶叫しながら亡くなっていました。吸入麻酔が開発された後も、術後創の処置が不完全なため、感染症を発症し、次々と亡くなっていきました。この本は、麻酔手術が成功し、感染症を克服するまでの近代外科学の発展過程について、史実に基づきながらも、手に汗握るドラマ仕立てで書かれています。発行後、50年以上の月日が経っても燦然と輝く名著です。
  読み終えた後は、21世紀に生きていてよかったと、近代医学に感謝すると同時に、医療の一部を担う職業(看護職)につくことの重みを改めて感じることができる一冊です。

教務課 榎本夏子さん へメッセージ

  初めてこの本を読んだ時は、あまりの興味深さ(学術的な面白さ)にグイグイ引き込まれ、一夜にして読んでしまいました。ずっと同一体位で読んでいたので、首と腰が痛くなったくらいです。気を付けてください。

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准教授 濱元淳子先生 へ

  お勧め本の紹介と、本のカバーの紹介文を読んで俄然興味がわいてきて、濱元先生の予言通り一気に読んでしまいました。登場人物の顔を勝手に想像し、感情移入してしまいました。読み終えた今、当たり前と思っている現代の医療に感謝の気持ちを感じています。ありがとうございました。

教務課 榎本夏子さん から3年生 鹿子島惇さん へおすすめ

外科の夜明け: 防腐法-絶対死からの解放

J・トールワルド著, 大野和基訳, 小学館, 1995.

  「麻酔で痛みを和らげてもらうこうこと」「医療(の現場)は、常に清潔に保たれていること」。現在では、常識だと考えられている事は、約150年前には常識ではありませんでした。1800年代半ば、手術は苦痛が伴うことが当たり前の時代でした。それが「麻酔」の発見により、人々は痛みから解放され、さらに防腐法の発見が、手術後の感染症による無残な死から人々を解放しました。
  この本では、医療が大前進していく様子を個性的な登場人物を通して描かれています。登場人物は、個性的でありながら、いつの時代にも存在しているような人々です。
  一方、苦痛に耐え、手術・治療を受けた人々のことも忘れてはならないと思います。苦痛に耐えてでも治療を受け、楽になりたい、治りたいと思う患者の思いが、多くの発見の原動力になったことは間違いないでしょう。
  多くの命と熱意、アイデア、努力、偶然など、様々な要素が交わり外科技術が前進してきたことを知ることができる本です。

3年生 鹿子島惇さん へメッセージ

  この本を読んで、医療の世界を目指している鹿子島さんがどのように感じたかをぜひ教えてください。この本には、続編があるそうです。私も今から、続編を読むつもりですが、鹿子島さんもよかったらどうですか?きっと読みたくなると思います。

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教務課 榎本夏子さん へ

 本の紹介をしていただき、ありがとうございます。紹介していただいた『外科の夜明け』や同著者の『近代医学のあけぼの』を読んで、現在医療の現場で用いられている麻酔法や消毒法を開発するまでに、様々なドラマや、多くの患者や開発者の命の犠牲があり、その犠牲があったからこそ、今の医療があるということに感銘を受けました。今回、「外科の夜明け」を読んで、私が知らなかった医学の歴史について知ることができ、医学により関心を持ちました。ありがとうございました。

3年生 鹿子島惇さん から2年生 粟飯原正晴さん へおすすめ

相田家のグッドバイ : running in the blood

森博嗣, 幻冬舎, 2012.

 帝国大出身のいつも冷静で頭脳明晰だが他人とピントがずれている父。異常なくらいの整理収納癖を持つ母。この作品は、そんな両親に育てられた長男紀彦の視点で描かれた家族の物語です。
 紀彦は成長し、社会に出た時に家族や自分の価値観が他の家族や人と違っているという事に気づき、その価値観や生き方を修正していきます。両親からの独立や結婚、新しい家族との生活、両親の死を通じ、中年と呼ばれる年齢になった時、両親のこと、家族とは何であるのかということについて、自ら問いただします。
 日本における高齢化の急速な進行は、看護師になる身としても憂慮すべき問題だと思います。この本は、フィクション小説としての面白さに加え、家族小説を描くことによって、現在問題となっている核家族化や配偶者の死による高齢者の孤独化について、また高齢者を福祉施設に入れることは本当に本人のためになるのだろうかということについて考えさせられます。

2年生 粟飯原正晴さん へメッセージ

 この本を読んで、どのような感想を抱いたかぜひ教えてください。同作家の『喜嶋先生の静かな世界』も、すてきな作品ですので、併せてごらんいただき、心温まる森博嗣の世界をご堪能ください。

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3年生 鹿子島惇さん へ

  鹿子島さん、『相田家のグッドバイ』をご紹介していただき、ありがとうございます。この本は非常に淡々と描かれているのですが、読み進めていく内に家族に対する暖かい思いが見え隠れして、最後は何だかほっこりさせられました。主人公の家族はとても変わっているように見えるけれど、どこの家族もそれぞれの思いや愛情の形があって、客観的に見ればどこの家族も実は同じくらい変わっているのではないのか・・・などなど、色々考えさせられ、楽しく読み進めていくことが出来ました。同作家の『喜嶋先生の静かな世界』も読んでみたいと思います。
  ありがとうございました。

2年生 粟飯原正晴さん から2年生 高口暢大さん へおすすめ

日本人にかえれ

出光佐三, ダイヤモンド社, 1971.

  出光佐三は「会社組織とは大家族と同じである」という経営理念をもとに、「タイムカードなし」「出勤簿なし」「定年なし」「馘首なし」など、今では考えられない手法で会社の経営をしていました。社員は家族であるから家族に定年はないし、時間を管理する必要もない。出光佐三は数千人もの規模の人数でもこの経営理念をもとに会社を経営していたのです。この本はこのような出光佐三の経営理念や生き方について書かれてあります。
  また、国際化する時代の中で日本・日本人としてどうあるべきかについて出光佐三の独自の視点で書かれており、これから日本および日本人とはなにかという根本的な問いを自らに投げかけて、これからの日本のあるべき姿・自分のあるべき姿とは何なのか考えさせてくれる本でもあるので、学生の内に読んでおいて損はない一冊だと思います。

2年生 高口暢大さん へメッセージ

  出光佐三は私たちの大学のある宗像で生まれた偉人であり、百田尚樹の著書『海賊と呼ばれた男』の主人公のモデルとなった人物です。宗像で生まれた偉人を知る良い機会だと思います。
  是非読んでみて下さい。

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2年生 粟飯原正晴さん へ

  出光佐三の『日本人にかえれ』を紹介していただき、ありがとうございました。この本を読む前に出光佐三がモデルになった、百田尚樹の著書『海賊とよばれた男』を読んでから本書を読んだところ、紹介して頂いた通り大変想像しやすく、なぜ出光佐三が独自の経営理念に代表される様な考えに至ったのかがわかりました。出光佐三の考えや方針に触れるうちに時折、私も出光佐三のもとで働いてみたいなという思いがわき、仮に出光佐三が現在も生きていてこの様な経営をすると、はたしてどのようになっているのか大変興味深く感じます。

2年生 高口暢大さん から2年生 服部咲子さん へおすすめ

殺人出産

村田沙耶香, 講談社, 2014.

  本書は決して後味の良い小説や面白おかしい小説ではありません。むしろ、気持ち悪く何度も閉じたくなる本です。実際私も幾度となく閉じようと思いました。しかし、現代の社会の特徴を捉えているため、多少誇張があったとしてもそれを差し引いたら十分現実味を帯びている話だと思ったのです。
  この本は「殺人出産」、「トリプル」「清潔な結婚」、「余命」の4つの話から構成されている短編小説集です。最も長い話でも110ページ弱しかなく、加えて、セリフが多いため分量的にはスラスラと読むことのできる書物だと思います。「余命」はわずか4ページの掌編ですので、内容は割愛します。「殺人出産」は10人産んだら1人殺していいという標榜のもと、産み人と呼ばれる人が憎き人を殺すため10人の子を産むというシステムに疑問の念を抱きながら生活する一人の女性が主人公です。「トリプル」は男女の交際の仕方が男性2人と女性1人や男性1人と女性2人など男女合計3人で交際するという設定のもとに話が展開していきます。「清潔な結婚」は快楽の為にセックスはしたくない、子どもをつくる為にするのだという信念を持つ夫婦が主人公であり、その信念と現実との間での葛藤を描いています。
  上記の通りこの作品は現在の社会情勢を誇張したSFであり、殺人と出産を同一の土俵で考えたり、子作りと夫婦の営みを別に考えたりと今の私たちの「常識」とは全く異なることが起こります。そのため、普段いかに私たちが常識(感覚)にとらわれているかがわかり、その感覚を見直すことができるところがこの本の最も面白いところです。

2年生 服部咲子さん へメッセージ

  最近、日本ではLGBTの結婚がパートナシップ協定という形で一部認められ、また逆に夫婦別姓が声高に叫ばれている中、最高裁は別姓を認めない判決を下すなど今までの「常識」が変わりつつあります。そのため、「家族の在り方」も多様化していき、この本に出てくるような家族も将来的に存在しうるかもしれません。服部さんがこの本を読んで常識という感覚や今後の家族の在り方などを考えるきっかけになれば幸いです。

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2年生 高口暢大さん へ

  高口さん、『殺人出産』を紹介していただきありがとうございました。本を読み終わった後に感じたのは、自分が今「常識」や「正しい」と思っていることは、時代の流れによって移り変わっていくものであるということでした。今はないけど将来的にはあり得るかもしれないと思わせるような設定が興味深く、「もし自分なら…」と真剣に考えてしまいました。時代による移り変わりの境目に自分が立った時に、なかなか新しい方の考えを受け入れきれない辺りが「自分はまだまだ頭が固いのかな?」という感じがしました。ありがとうございました。

2年生 服部咲子さん から2年生 岡田圭央さん へおすすめ

夢巻

田丸雅智,出版芸術社,2014.

  ショートショートといえば、星新一を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、本書の著者である田丸雅智氏は星新一の孫弟子にあたるショートショート作家です。
  『夢巻』は20編から成り、ホッコリする話から、ドキッとする話までさまざまです。題材になっているのはどれも身近にあるもの(野菜、リモコン、文字、雲…など)ですが、日常から非日常を作り出す著者の発想力が非常に面白いと思います。また、著者の表現もとても印象的で、「綿雲堂」などでは幻想的な情景が目に浮かび、心が温まるような気分になります。
  短い文章の中で表現されるこの世界観は、あなたの生活の中にあるちょっとしたことでもキラキラとして見えるようにさせるのではないでしょうか。読み終わった後には、自分の身の回りにも、なにか自分の知らない不思議な世界が広がっているのではないか、と考えたくなるかもしれません。きっとあなたの発想を広げてくれると思います。

2年生 岡田圭央さん へメッセージ

  年が明けたというのに、試験や実習など慌ただしい日々が続いていますが、たまには本を読んで息抜きというのも悪くないかもしれません。短い話ばかりなので、ちょっとした時間にも読むことが出来るのがこの本のいいところです。

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2年生 服部咲子さん へ

  『夢巻』は、どれも実際にあったら楽しいだろうなと思わせるような話が多く書かれており、読み終わった後は続きが気になりました。続きを想像することで、自分の発想力も鍛えられる本だと思いました。
  紹介してくださり、ありがとうございました。

2年生 岡田圭央さん から2年生 吉村佳那子さん へおすすめ

横道世之介

吉田修一,文藝春秋,2012.

  大学進学のために長崎から上京した横道世之介の一年間を追った話です。主人公、横道世之介はしっかりしている一面もありますが、頼まれたことはなんでも引き受けてしまうお人好しです。この彼の性格が様々な人との出会いを引き起こします。友人の突然の結婚と出産、サンバサークルでの活動、お金持ちのお嬢さんとの恋愛、帰省など横道世之介の一年に起きた様々な出来事が丁寧に書かれています。
  この物語には横道世之介に関わった登場人物の十数年後の姿も描かれており、あることをきっかけに、それぞれが横道世之介と過ごした時間を思い返す場面は、楽しい場面とは打って変わってしんみりとした気持ちになります。
  同じ大学生として、自由な生活を送る横道世之介と実習や課題で追われている私とを比べると羨ましく思えてならないのですが、本当は私が忘れていただけで、楽しかったことが横道世之介と同じくらいあったのかもしれません。人間は自分に起こった出来事すべてを記憶することは不可能です。おそらく、横道世之介も一年間に起きた出来事すべてを覚えてはいないでしょう。楽しかった思い出も、嫌な思い出も年月が経った時にふと思い返すことができれば、初めて意味のあるものとなるのではないでしょうか。そのようなことを考えさせてくれる本です。


2年生 吉村佳那子さん へメッセージ

  やっと春休みが始まりましたね。今まで、レポートや実習などお疲れ様でした。この本は少し長いですが、一気に読んでしまうくらい面白いので時間のある春休みにぴったりだと思います。ぜひ、新学期に感想を聞きたいです。

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2年生 岡田圭央さん へ

 『横道世之助』という本を紹介して下さり、ありがとうございました。本を読む機会が少ない私でも一気に読み切ることが出来た魅力的な本でした。身近な出来事の有難さや楽しさに改めて気づくことが出来たと思います。

3年生 吉村佳那子さん から3年生 安長妙子さん へおすすめ

告白

湊かなえ, 双葉社, 2008.

 私がお薦めする『告白』という本は、2009年に湊かなえさんが本屋大賞を受賞した有名な作品です。ある少女の事故死を中心として、死亡した少女の母親である教師、その生徒、生徒の家族等、人間関係が様々な角度から描かれています。また、事件の本当の経緯が見えてくると、犯人の真の望みとは何だったのかということが読者の胸に少しずつ訴えかけてきます。真相を追及するミステリーとしてももちろん楽しめる一冊です。しかし、詳細に書かれた登場人物それぞれの心情や背景を通して、一つの事件でもそれぞれの立場から見つめなおせば別の面が見えてきて、想像力を鍛えることもできると思います。
 人生は十人十色です。立場も環境も考え方も全てが違います。全く同じ人はこの世にはいません。この本には賛否両論がありますが、私も共感できる点もあれば、理解し難い疑問の残る点もありました。どのように感じるか、それは、この本を手に取る読者のこれまでの人生の歩みや感性に委ねられるものであり、答えはありません。だからこそ、読んだ人に合わせて感想が異なる素晴らしい本であり、ぜひ手に取ってほしいと思います。

3年生 安長妙子さん へメッセージ

 あっという間に春休みが終わり、新学期が始まりましたね。すでに次の実習に向けて準備が始まりましたが、息抜きにこの一冊を手にとってはいかがでしょうか。この本から何を感じ取ったのか、意見共有できたら良いなと思います。

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3年生 吉村佳那子さん へ

 『告白』を紹介してくださりありがとうございました。普段読む本とはジャンルが異なり新鮮な気持ちで読むことができました。また、一つの事件が様々な視点から描かれており、視点を変えることで見えてくる面白さを味わうことができました。

3年生 安長妙子さん から3年生 中原椎葉さん へおすすめ

自閉症の僕が跳びはねる理由:会話のできない中学生がつづる内なる心

東田直樹, エスコアール出版部, 2007.

 今回私がお薦めする本は『自閉症の僕が跳びはねる理由』という自閉症の中学生(当時)が書いた本です。この本を手にしたきっかけは、障がい者施設での実習で自閉症の方とのかかわり方に困惑し、うまく介入できなかったという後悔があったからです。自閉症の方は一般的に人とコミュニケーションをとることが苦手であり、心情を言葉で表現することが困難だと言われています。そのため、実習でも彼らの心理や行動についてわからないことばかりでした。そんな中出会ったのがこの一冊です。
 この本は自閉症である当事者の視点から描かれているため、彼ら特有のもののとらえ方や考え方が手に取るようにわかります。そして、彼らの素敵な世界観を知ることができます。また、一問一答の形式で書かれているためとてもわかりやすく、本を読むのが苦手な人でも読みやすいと思います。みなさんぜひ読んでみてください。

3年生 中原椎葉さん へメッセージ

 中原さんも実習で自閉症の方とかかわる中で少なからず葛藤があったのではないでしょうか。この本は自閉症を理解するのに大変参考になる本です。レベルIV実習に向けて忙しくなる時期ですが、一問一答形式で読みやすい本なのでぜひ読んでみてください。

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3年生 安長妙子さん へ

 本を紹介してくださりありがとうございます。実習を通して自閉症の子供たちと関わり思い悩んだ経験を振り返りながら読むことが出来、自閉症への理解が深まりました。他のシリーズも出版されているので是非読んでみたくなりました。

3年生 中原椎葉さん から2年生 政村千遥さん へおすすめ

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

七月隆文, 宝島社, 2015.

 私が今回紹介するのは、『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』という本です。この本を手に取ったきっかけは、この本が映画化される際に主人公を演じる俳優が好きだったからという単純なものです。何気なく手に取った本でしたが、実習前の忙しいこの時期にこそ読むべき本でした。私は、この本を読み終わった後、一日一日に価値があるということを忘れていた自分に気付かされました。学校に行き友人と会話した、挨拶した、そんな何気ない日常を大切にしていきたいと改めて思うことができました。
 もちろん、題名から想像できるように純粋な恋愛ドラマも描かれており、微笑ましくなったり、切なくなったりといろんな感情がわきました。プロローグの一行目は、「一目惚れをした。」という文章から始まるので、今から何が描かれていくのだろうと興味を惹かれます。読み始めると、主人公である南山高寿がとても誠実で、一心に彼女を思い続けている様子に、ついつい応援したくなってしまいます。また、二人が京都でデートする場面では、その美しい街並みや景色を想像して楽しむこともできます。
 全て読まなければ隠された謎が明らかにされないため、忙しくてもついつい読んでしまい、途中でやめられなくなってしまいます。ところが、読んだ後は、謎が解けてすっきりすると同時に、もう一度読み返したいと思ってしまう癖になる本でした。
 とても読みやすいので、気軽に手に取ってみてください。

2年生 政村千遥さん へメッセージ

 私が最近読んだ本の中で一番、おもしろかった。と感じた一冊です。政村さんも、今が一番忙しい時期だと思いますがちょっとした息抜きに、この本に出てくる京都の町を想像したり、複雑な二人の恋の行方を追いながら楽しんで読んでみてください。

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3年生 中原稚葉さんへ

 本を紹介して下さり、ありがとうございます。読み進めていく上で、明らかになる隠された秘密の真相を知りたくなり、読むのに夢中になりました。本で読んだことを想像しながら、実写化されている映画も見てみたいと思いました。

2年生 政村千遥さん から助手 島崎梓先生 へおすすめ

夜のピクニック

恩田陸, 新潮社, 2006.

 今回紹介する本は、第2回本屋大賞を受賞した『夜のピクニック』です。
私がこの本を手にしたきっかけは、題名に惹かれ、どのような話であるか興味が沸いたからです。この話は、夜を徹して80キロを歩き通すという、伝統行事の「歩行祭」が舞台となっています。生徒達は、様々な想いを抱えて、高校生活最後の行事となる、この「歩行祭」に参加します。主人公の貴子は、3年間のわだかまりを解決するために、クラスメイトの融に話しかけるという密かな誓いを胸に抱えて、歩行祭に臨みます。貴子の想いは、恋愛とは違う複雑なものであり、これによって二人の関係がどのように変わるかが、この本の見所です。
 高校生が主人公ということもあり、話には青春時代のさまざまな想いが込められています。私の高校にも、真夏の炎天下を歩くという行事があり、実際に歩いた時のことを頭に浮かべながら読みました。高校時代は、心身を鍛えるという名目で何かときつい行事や辛いこともありましたが、今振り返ってみると、その経験があるからこそ乗り越えられたこともたくさんあります。この「歩行祭」も、ただ歩くだけの行事ですが、その中には登場人物たちのいろいろな想いがあり、そこから学ぶことが多くあります。
 自分の青春時代を思い出し、どこか懐かしい気持ちにもなります。とてもおもしろいので、ぜひ読んでみて下さい。

助手 島崎梓先生 へメッセージ

 この本を読んでいる間、高校生に戻っているような気がしました。厳しい規律の中で、勉強と部活の両立を懸命に行っていたことが甦りました。島崎先生にこの本を読んでいただき、どのようなお気持ちになるかお聞きしたいです。是非、高校生活に戻ってみて下さい。

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2年生 政村千遥さんへ

 政村さん、紹介ありがとうございます。読んだ後、懐かしくて爽やかな気持ちになる素敵な本でした。青春真っ只中の登場人物たちに、忘れかけていた大切なことを教えられました。心が濁ってきたら、また読み返してみようと思います。

助手 島崎梓先生 から2年生 吉田日向子さん へおすすめ

コンビニ人間

村田沙耶香, 文芸春秋, 2016.

 私がお薦めする本は、今年、第155回芥川賞を受賞した村田沙耶香さんが書いた『コンビ二人間』です。著者自身も、コンビ二店員であることから受賞時話題になりました。主人公は、子どものころからちょっと変わっていると周囲に思われ、生きづらさを感じていた女性です。そんな彼女が、ようやく見つけた安住の地は、「コンビ二」でした。マニュアル通りの平穏な日々を送っていた彼女の職場に、新しいアルバイトがやってくるところから、彼女の人生が揺らぎ始めます。「なんでアルバイトなの?」「なんで結婚しないの?」「何のために生きているの?」彼の素朴な疑問が、それまで誰も踏み込むことの無かった彼女の世界をこじ開けます。
 この本は、主人公に投げかけられる言葉の一つひとつが、読者である自分に投げかけられているようで、自分の価値観や人生観を揺さぶる作品でした。「普通って何だ?」「幸せって何だ?」と考えていくうちに、自分も社会の規定した理想形に縛られている一人なのかもしれないと気付きます。看護とはあまり関係ありませんが、コンビ二の裏側やそこで働く人のプロフェッショナリズムも垣間見ることができて面白かったので、是非読んでみてください。

2年生 吉田日向子さん へメッセージ

 この本を読んで、自分の常識が少し変わりました。主人公には共感できないかもしれませんが、他者への理解は広がると思います。読んだ後に、何が正しいか分からなくなる不思議な感覚を、吉田さんも是非味わってみてください。

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助手 島崎梓先生へ

 『コンビニ人間』を読んでから自分の話し方が主人公と同じで、まわりの人の話し方を合わせたものであることに驚きました。人は一人で生きていけないと強く感じました。

2年生 吉田日向子さん から図書館 白倉理絵さん へおすすめ

骨盤にきく : 気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門

片山洋次郎, 文藝春秋, 2009.

 現代を骨盤から読み解く『骨盤にきく―気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門―』をお勧めします。サブタイトルにあるように睡眠と集中力をメインに書いてあるのですが、食べることや考え方、恋愛などについても骨盤というローアングルな視点で自分を見つめ直すことができる一冊です。自分で対処できるよう簡単な体操もイラスト付きで書いてあり、非常にわかりやすいです。また、現代社会の「何で?」のヒントもたくさん書かれています。整体と聞いて身構えず気楽に読んでみてください。

図書館 白倉理絵さん へメッセージ

本に書かれている体操で集中力アップを実感してみてください。

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2年生 吉田日向子さんへ

 ご紹介、ありがとうございました。「?」と思う部分もありましたが、自分の体に思いあたるところもあり、興味深く読ませていただきました。とりあえず、足上げ体操を続けてみます。

図書館 白倉理絵さん から4年生 木原如季子さん へおすすめ

神様

川上弘美, 中央公論社, 1998.

 著者のデビュー作「神様」を表題とした9編からなる連作短編小説です。
 表題作の「神様」は、主人公の私と最近近所に越してきたくまが河原に散歩にでかける話です。この他にも、主人公は白い生き物(梨の妖精)や河童、人魚と会ったり、謎の壺を貰ったりします。どれも突拍子もない話です。でも、語り口は淡々としていて、主人公も違和感なくそれらを受け入れているので、日常の話のように感じます。だけど、読んだ後は何かじんわりと感じるものがある、とっても不思議な本です。
 もちろん、最初から通して読んでいただきたいですが、その後は気まぐれに一話ずつ読んでも楽しめると思います。個人差はありますが、私にとっては人生の中でこういう本があるとちょっと救われるなあという気がします。気になった方はぜひ読んでみてください。

4年生 木原如季子さん へメッセージ

 本好きな木原さんが、普段読まなさそうな本を選んでみました。これからの人生の中で、ちょっとした気休めになればと思います。

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職員 白倉理絵さんへ

 忙しい日々の中、日常のような、そうでないような不思議な世界を感じることが出来ました。ふわふわ浮いているようなほっこりした気持ちです。なんとなく思い出した時に、読み返したくなるような作品に出合えてうれしいです。ご紹介ありがとうございました。

4年生 木原如季子さん から4年生 堀之内和輝さん へおすすめ

芙蓉千里

須賀しのぶ, 角川書店, 2012.

 夜の蝶、と言えば今やキャバクラ嬢やホステスなどを考えますが、ほんの少し前までは吉原遊郭が存在していました。いまだ芸妓、舞妓といった文化は残っているもののわずかな地域のみです。
 そんな、日本人なら誰しも気になるであろう花魁、女衒といったものに焦点を当てたお話です。
 さかのぼること明治末期、一人の少女・フミが中国大陸に渡りました。自分を捨てた父親から母親は吉原の花魁だったと聞かされ、自らを女衒に売り込み、大陸一の女郎となるべく海を渡ります。親に売られたタエとともにハルビンの女郎屋・酔芙蓉で下働きを始め、あでやかで淫靡な世界に身をやつしていきます。彼女は角兵衛獅子で鍛えた身のこなしと舞の才能で、やがてハルビンで名をとどろかす芸妓へと成長していくのです。
 事細かに書かれている時代背景と女性の強さ、しなやかさがとても印象的な本です。友情、恋愛といったきれいごとだけで済まされない世界がここにはある気がしました。気になった方は是非読んでみてください。

4年生 堀之内和輝さん へメッセージ

 こういった作品は男性はあまり読まなさそうだと思って選びました。忙しい時期だとは思いますが、こういった本を集中して読んで少しでも忙しい毎日を忘れられたらと思います。