学部長挨拶

学部長挨拶

赤十字の看護大学で看護師を目指す

   赤十字は、戦場で手当てを受けることなく無残な姿にさらされている兵士を救うために行動した、一人の人間の思いと考えから誕生しました。

   赤十字の理念は「人道」です。赤十字は、人間のいのちと健康、尊厳を守るため、苦痛の予防と軽減のために行動します。人間のいのちと健康、尊厳を守ること、苦痛の予防と軽減は、看護師の仕事でもあります。

   私は2012年に本学に赴任しました。それ以前は赤十字の看護師として武力紛争地域で活動していました。現地での活動は、患者さんの看護だけでなく、看護師や看護学生の教育など多岐にわたります。看護専門学校での教員経験もありましたので、紛争地域の看護教育はどうなっているのだろうと思い、看護師養成を行っている専門学校や大学を訪問しました。そこでは戦禍の中にあっても看護教育を途絶えさせてはならない、看護師を育てるという強い意志のもと、先生方は校舎を、技術演習に必要な数少ない物品を、各地からかき集めた図書を必死に守り、教育されていました。その姿に頭が下がりました。学生たちの学ぶ姿も真剣そのものでした。看護を目指す仲間は世界中にいます。学ぶ環境は違っても看護師になるという目標は同じです。

   人間のいのちと健康、尊厳を守ること、苦痛を予防し軽減することは、容易いことではありません。専門的な知識・技術に加え、豊かな人間性が求められます。本学は皆さんが看護師として、赤十字の理念を国内外で実践し活躍できるよう、カリキュラムおよび学習環境を整えています。

   本学で学ぶ意味を考え、自己の夢・目標を実現できるよう、大学生活を謳歌して下さい。

小川 里美
日本赤十字九州国際看護大学 学部長・教授