開催日20120620
テーマスーダン・南スーダン紛争犠牲者救援事業における看護
講師本学 准教授 小川里美

スーダン・南スーダン紛争犠牲者救援事業における看護

 

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平成24年度第2回ランチョンミーティングを実施しました。今回の講演者は本学小川里美准教授です。小川准教授は、1992年から20年間7回にわたり赤十字国際委員会(ICRC)の「スーダン・南スーダン紛争犠牲者救援事業」に日本赤十字社の派遣要員として派遣され、現地での看護師育成などに携わってきました。講演では、スーダン・南スーダンの現状を踏まえ、紛争地における赤十字の国際救援活動について写真を交えて紹介がありました。

現地での20年以上にわたる内戦では、約400万人が死傷し、甚大な被害が出ています。2004年、西部のダルフールでは200万人の犠牲者があり、世界最大の人道危機と報道されました。現地では施設や設備、医薬品等が不足しており、国際的な医療機関のサポートなしには医療施設の運営(機能)は不可能な状態にあり、実際、患者の安全・安心を確保することがきわめて難しいのが現状です。そのうえ、医療施設が破壊されることがあり、過酷な条件が重なり、住民の医療へのアクセスは困難を極めています。

小川准教授は2012年の4月24日に7回目の派遣から帰国しました。その時に、NHKのラジオ放送に出演し、現地事業の活動が世界中に英語でリリースされました。ラジオ放送の内容は、南スーダン共和国の誕生の背景と現在、国が抱えている問題(低い識字率とそれが医療専門職に与える影響)、緊急外科チームの概要でした。また、小川准教授が初めて現地に出かけた時の活動も紹介されました。

小川准教授は最後に次のように締めくくりました。「命に国境はない。看護にも国境はない。いかなる場でも専門職者として精進することが、私たち看護師に課せられた義務と責任である。世界には看護を学びたくても十分な教育を受けることができない人々がたくさんいる。そのことを考えれば、看護職を目指す教育を受けられることがどんなに有り難く、尊いことなのかをまず実感してほしい。そして国家試験に合格してそれぞれが専門職として活躍していってほしい。」