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本を読んで話す会

お昼休みにレストランでランチやお菓子を囲みながら、本についてざっくばらんにワイワイと語り合う会です。

平成26年度 第2回 12月15日(月)

リピート

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12月15日に今年度第2回目の「本を読んで話す会」を開催しました。

今回の対象図書は、今秋、ランチョンミーティングにて開催した「ビブリオバトル」で、1年生の吉田さんが推薦し、
チャンプ本となった『リピート』(乾くるみ著)です。

現在の記憶を持ったまま十カ月前の自分に戻れるという不思議な誘いを受けた十人の登場人物が、過去に戻る体験(リピート)をした後、
次々に不審な死を遂げていきます。誰が犯人なのか?最後はどうなるのか?先の読めないミステリー仕立ての物語です。会では、参加者たちの心に湧いてきたいろいろの問いを巡って話に花が咲きました。もし本当にリピートできるとしたらいつの時点に戻りたいか?何をしたいか?…作品を楽しむだけでなく、自分の来し方と今とを見直す機会にもなったようです。

以下、参加者のコメントを紹介します。

・リピートできるとしたら、楽しい思い出のある特定の数年間だけでよい。

・リピートできたら、途中で止めた多くの習い事を何かひとつでもよいから続けたい。高校時代に戻って、ちゃんと勉強したい。

・どれほどの人がリピートしたいと思うのだろうか。自分はリピートして同じ経験をしたいとは思わない。

・リピートして永遠に生き続けると、いずれ発狂すると思う。終わりがあり、限られた人生を送るということに意味がある。

・自分の子どもを宿した彼女に対する主人公の考え方や行動にまったく共感できなかった。

・物語の要となる風間という人物は何度もリピートを重ねているが、他人を助けたいという気持ちの一方で、人を自分の思うがままにコントロールしたいという欲望もある。この二つは紙一重である。

・著者は学生時代に理学部数学科専攻だったそうで、ストーリーの各所に数学的要素が含まれている。登場人物の一人が記号を使って「リピート」を説明するところは面白いと思った。

・著者は男性であるが、女性と誤解されそうな「くるみ」というペンネームにしたのはどんな意図があるのだろうか。海外の文学作品では、ジェンダーバイアスを避けて、女性の作家が男性とも捉えられるペンネームを付けることは多いが、男性が女性名を使用するのはあまり例がないのではないか。日本には、紀貫之という例もあるが。



リピートできるとしたら、あなたはいつに戻りたいですか?何をしたいですか?
この内容の結末が気になる方は、このお正月にゆっくり読んでみてはいかがでしょう。


平成26年度 第1回 6月9日(月)

参加者自身の推薦図書の紹介

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6月9日(月)に今年度初めての本を読んで話す会を開催しました。今回は特定の図書に特化せず、さまざまな本を持ち寄って紹介し、さらに、本だけではなく映画についても語り合いました。

8名の教職員と4名の学生が参加し、お菓子を食べながら、それぞれの「お気に入り」を紹介しました。まず、因先生からは、Ende, Michael著のMOMO(英文)と宇能鴻一郎『夢十夜 : 双面神ヤヌスの谷崎・三島変化』が紹介されました。続いて、柳井先生から森鷗外の『高瀬舟』、田中先生から『NICUのちいさないのち : 新生児集中治療室からのフォトメッセージ』と、「命」の誕生と終焉という両極を考える助けとなる書籍が紹介されました。五十嵐先生からは、Malala YousafzaiとChristina LambによるI am Malala : the girl who stood up for education and was shot by the Talibanが紹介されました。2013年に国連で行われて絶賛されたマララさんのスピーチの中にもあった、“One child, one teacher, one book and one pen can change the world. ”という文言が出ていること、このような理解しやすい英語で書かれた力強いメッセージが随所に見られることを五十嵐先生に聞いて、学生たちは、「あ、あのテレビにでていた…」と身を乗り出し、五十嵐先生の本を覗き込んで、「難しくないね。ぜひ読んでみよう」と語り合っていました。
その後、途中から参加した学生たちから最近見た映画の話が出て、「清州会議」「Life」「アナと雪の女王」の紹介やら感想やらに話の花が咲きました。そして、「ミッキーマウスが白い手袋をしている」ことにはアメリカの人種問題が影響していること、そうした事情は『ディズニーランドの秘密』(有馬哲夫著,新潮新書)という本に詳述されていることなど、娯楽として見ている映画の中にも社会を深く理解する糸口が隠されていること、その糸は本を読むことによって手繰っていけることを実感させてくれる話に発展しました。

今後も引き続き「本を読んで話す会」は開催されます。どうか気楽に、「お菓子」と「話」を楽しみに参加してみてください。多くの学生の参加をお待ちしています。

★今回紹介された図書・映画★
【図書】
・Ende, Michael., translated by Brownjohn, J. Maxwell. : MOMO, Harmondsworth, Penguin Books, 1985.
・宇能鴻一郎『 夢十夜: 双面神ヤヌスの谷崎・三島変化』 廣済堂出版, 2014.
・宮崎雅子写真, ネオネイタルケア編集室編『NICUのちいさないのち : 新生児集中治療室からのフォトメッセージ』 吹田, メディカ出版, 2011.
・森鷗外『高瀬舟』(『鷗外全集』第16巻 所収)岩波書店, 1988.
・Yousafzai, Malala., Lamb, Christina. : I am Malala : the girl who stood up for education and was shot by the Taliban . New York, Little, Brown, 2013.

【映画】
・清州会議,原作・脚本 三谷幸喜, 2013.
・Life,原作:ジェームズ・サーバー, 脚本: スティーブン・コンラッド, 2013.
・アナと雪の女王, 脚本 ジェニファー・リー, 2013.

平成25年度 第3回 11月25日(月)

MOMENT

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11月25日に今年度第3回目の「本を読んで話す会」を開催しました。

今回の対象図書は、オープンキャンパスにて開催した「ビブリオバトル」で、1年生の竹内さんが推薦した『MOMENT』(本多好孝著)です。
この物語は、病院で清掃のアルバイトをしている大学生と末期の入院患者たちとのかかわりを軸にした、4つの短編で構成されています。
参加者からは、最も気に入ったストーリーやその理由、自分の経験に照らした感想など、さまざまなコメントが寄せられました。
以下、いくつかを紹介します。

・「お涙頂戴」の内容かと思っていたら、予想外によく練られた、完成度の高い作品だった。主人公の周辺にいる登場人物も、それぞれの背景が気になるような描かれ方で、話も構造的に作り込まれている。ひねりの効いたストーリー展開でおもしろかった。

・主人公の幼馴染の女性、森野が魅力的である。彼女は若くして両親を亡くし、家業の葬儀屋を継いだが、その悲しみが彼女のキャラクターを
 作り上げたのだろうかと想像させられた。この作品の姉妹編『Will』では、森野が主人公として描かれている。ぜひそちらも読んでほしい。

・4話中、3番目の「Firefly」という作品は、とてもリアルだった。主人公が、亡くなった女性の留守番電話を聞いているシーンで、胸が詰まった。

・著者の作品には、一見冴えないけれど人を引き付ける主人公が多いように思う。著者自身を、あるいは、著者の理想を投影しているのだろうか。
 また、文章のところどころに「あ、これは男性の視点だな」と感じられる表現があり、興味深かった。

・読了後、人との付き合い方や会話のしかたが変わり、少なからず影響を受けた。

・患者との濃やかな関わりが描かれているが、看護師として働いていた自分とは異なった目線だと感じた。
 患者さんに対して、もっと別の接し方ができたかもしれないと当時の自分を振り返った。

・この物語の中では、医療従事者が患者に向かって「がんばって」というセリフがない。本当にがんばっている人たちに「がんばって」とはなかなか言えない。著者は、「がんばる」という言葉を意識的に使用していないのでは、と感じた。

次回の「本を読んで話す会」の日程は追ってご案内します。
多くの皆様のご参加をお待ちしています。

平成25年度 第2回 6月24日(月)

喜嶋先生の静かな世界

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6月24日に今年度第2回目の「本を読んで話す会」を開催しました。
今回の対象図書は、『喜嶋先生の静かな世界』(森博嗣著)です。
先日開催したビブリオバトル形式のこの会で、1年生の鹿子島さんから推薦され、参加者から多数の支持を受けて見事チャンプ本に決まった本です。
参加者からは「おもしろかった」「懐かしかった」という声が多く寄せられました。
以下、参加者のコメントです。

・とにかくこの小説の雰囲気が好きだ。学生時代に自分がいいと思える先生に出会いたいと思った。

・本の中の登場人物から刺激や影響を受けることがある。それも出会いといえるのではないだろうか。

・登場人物の中の、研究者タイプの人とそうでない人との会話がおもしろい。

・喜嶋先生は、主人公にとって憧れの対象である。憧れや知性そのものが具現化され、存在している状況こそ大学の良さであり、理想形だと思う。

・本書の内容は、ドイツ語のBildungsroman(ビルドゥングスロマン)といわれる、主人公が様々な体験を通して内面的に成長していく自己形成小説のひとつといえると思う。

・自分が大学生の頃の先生方を思い出して、すごく懐かしい感じがした。

・「アルミホイルみたいに軽い返事」という表現に、著者の文学的センスを感じた。

・夏目漱石の『こころ』に似たようなパターンである。主人公にとっての喜嶋先生を、自分にとって考えると夏目漱石かもしれない。読後は青春にひたってしまった。

次回の開催については、決定次第、ホームページ等でお知らせいたします。

平成25年度 第1回 5月20日(月)

発表者による推薦図書の紹介(ビブリオバトル)

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初めての「ビブリオバトル」形式による「本を読んで話す会」が2013年5月20日に開催されました。「ビブリオバトル」というのは、出場者が自分の好きな本を紹介する発表を行い、それを聞いた観客が最も読みたくなった本に投票して「チャンピオン」を決めるゲームです。今回は、4年生の内田さん、2年生の光岡さんと吉原さん、1年生の鹿子島さんが出場してくれました。
トップバッターの推薦書は、さくらももこ著『世界あっちこっちめぐり』です。著者が6カ国7地域を旅行した体験を雑誌non-noに連載したもので、紹介者によると、食べ物の描写が秀逸で、クスッと笑って気持ちをほぐしたいときに何よりお勧めだとのことです。

次の出場者は、前学長喜多悦子先生の寄贈本からなる「喜多文庫」から横山友美佳著『明日もまた生きていこう』を選びました。これは、高校の時からバレーボールの日本代表と目されるほどの選手だった女性が、癌を患い、21歳で早逝するまでを綴った本です。「思ったほど暗い内容ではなかった。日本代表となる輝かしい経験から、一転して癌という敵と戦わなければならない真逆の運命に立ち向かった一人の粘り強い女性の人生が描かれている」という紹介者の言葉が心に残りました。

3番手は、森博嗣著『喜嶋先生の静かな世界』です。森博嗣は、工学博士で大学教員を経て作家になったという経歴の持ち主です。紹介者は、森の文章そのものに「なんて頭のいい文章なのだろう」と感銘を受け、「学問をするとはどういうことなのか、理想の先生とは何かが語られていて、何度読んでも、読み始めて気が付いたら終わっている。私はもう10回くらい読んでいます」というほど、この本に惹きつけられています。

最後を締めくくったのは、加藤諦三著『行動できない人の心理学』です。「書店でふと目にとまった」というこの一冊は、短い文章で誰でも経験する気持ちを別の視点からわかりやすく解説し、「たとえ長距離でも、まずは1歩目から」など、あれもこれもやらなければと思うけれども一歩が踏み出せない人の背中を押してくれる言葉がたくさん含まれているそうです。参加者の一人、五十嵐教授も、「この著者は私にとっても懐かしい存在。青春時代、ラジオのDJだった加藤諦三はアイドルでした」と話してくださいました。

4人の紹介を聞いて投票が行われた結果、今回のチャンプ本は、鹿子島惇さんの紹介してくれた、森博嗣著『喜嶋先生の静かな世界』に決まりました。「今回は、まったく違うタイプの本が紹介され、どの本にもそれぞれ魅力があったが、チャンプ本には、私たちのゆるんだ認識を刺激してくれる小骨がありそう。鹿子島さんがこれほど打ち込んでいる本を是非読んでみたい」と因教授の講評にある通り、次回の「読んで話す会」の「ネタ」は、この『喜嶋先生の静かな世界』です。図書館に複数冊準備して貸し出しますが、先着順ですから、ぜひお早めに!

平成24年度 第5回 12月20日(木)

ヘヴン

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12月20日に今年度第5回目の「本を読んで話す会」を開催しました。
今回の対象図書は、前回のこの会で「読んでみたい」という意見が最も多かった『ヘヴン』(川上未映子著)です。

「いじめ」が主要なテーマであるこの作品、著者は「善とは何か。悪とは何か。ふだん当然と思っていることを自分自身にも問う気持ちでこの物語を書きました」と綴っています(講談社ホームページより)。

参加者からは、登場人物一人ひとりの言動や心理状況に、さまざまな思いを抱いた感想が寄せられました。以下、参加者のコメントです。

・いじめる側の口調や行動が現実的で、苦しい気分になり、すんなりと読み進めることができなかった。

・誰もがいじめる側、いじめられる側、どちらにもなり得るような存在の危うさがあると感じた。読後は、いじめる側といじめられる側はどちらが悪いのか分からなくなった。最後の場面では、両者が重なってみえた。

・文中、登場人物たちが交わす会話の「 」(カギ括弧)がなくなる部分があり、その表現に主人公の微妙な心境の変化を感じた。

・コジマの頑ななまでの行動に、何かを信仰しているような宗教的意味合いを感じた。

・コジマの考え方にはあまり共感できなかった。

・「7月の空は見事に夏を吸収し・・・」、「6Bみたいにすてきな声」など、比喩表現がとても美しいと感じた。

・物語の終盤、主人公といじめる側の少年との間で交わされる会話が哲学的である。最後はやや哲学的になりすぎて分かりづらいと感じるところがあった。

・人間の強い部分と弱い部分、それぞれがいじめる側といじめられる側に象徴されている。
弱さを乗り越えてたどりつくところが、この作品のタイトルになっている「ヘヴン」だと思う。

このほか、参加者からは、前回の会で推薦された『海と毒薬』(遠藤周作著)の感想も寄せられました。

・話の内容がとても重かった。
・普段の読書では、主人公と自分自身を重ね合わせて読むことが多いが、この作品は自分の常識や日常とあまりにかけ離れており、話の内容が受け入れ難く、読むのを一時的に中断している。

会の最後に、喜多学長と吉永図書館長から、参加した学生へ向けてメッセージがありました。
・同じ本を繰り返し読んでも感じることは毎回違う。本を読むことで人生が豊かになる。今後もたくさん本を読んでください。(喜多学長)

・本を読み、感動する人になってほしい。日頃から、さまざまなことに心をふるわせるように過ごしていってほしい。(吉永図書館長)

平成24年度 第4回 11月21日(水)

参加者自身の推薦図書の紹介

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2012年11月21日に「本を読んで話す会」を開催しました。
今年度第4回目は、参加者それぞれがお薦めの書籍を紹介しあう会としました。
今回の参加者は、手元に用意してないから・・・と遠慮がちにおすすめ本について語る人や、家族に薦められてこれから読もうと思っている本を紹介してくれた人、
複数の本を紹介した人などさまざまでした。

今回薦める本について、その本を読んだきっかけや深く心を動かされた点など、個人のエピソードを交えた紹介に、参加者は興味深そうに聞き入っていました。

会の最後に、今回紹介された書籍の中から参加者による挙手制で、次回の「本を読んで話す会」の対象書籍を決めました。
選ばれたのは、川上未映子著『ヘヴン』です。
次回の「本を読んで話す会」でぜひ一緒に感想を語りましょう!(『ヘブン』以外で今回紹介された書籍の中で興味あるものがあればそれの感想でも結構です。)
開催は12月を予定しています。詳細は決まり次第ご案内いたします。

★今回紹介された書籍★
・遠藤周作『海と毒薬』(改版)、角川書店、2004.
・川上未映子『ヘヴン』講談社、2009.
・Keller, Helen: The Story of My Life(Reprint). Signet Classic, 2010.
・杉浦日向子『一日江戸人』新潮社、2005.
・太宰治『人間失格』(改版)、新潮社、2006.
・チェーホフ,アントン『チェーホフ短篇集』集英社、2010.
・百田尚樹『風の中のマリア』講談社、2009.
・フォード,ジェイミー『あの日、パナマホテルで』集英社、2011.
・三浦綾子『塩狩峠』(改版)、新潮社、2005.
・椰月美智子『しずかな日々』講談社、2006.
・山崎ナオコーラ『浮世でランチ』河出書房新社、2006.

平成24年度 第3回 10月17日(水)

困ってるひと

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10月17日に今年度第3回目の「本を読んで話す会」を開催しました。
対象書籍は、参加者の推薦図書を紹介し合った第2回の会で、「読んでみたい」と意見が最も多かった『困ってるひと』(大野更紗著)です。

現在28歳の著者は、上智大学大学院に進学した2008年、膠原病の一種である難病を発病し、1年間の検査期間、9か月間の入院治療を経て退院します。
いまもこの難病と闘いながら、積極的に執筆活動を続ける著者の闘病生活が綴られた1冊です。

以下、参加者の感想やコメントです。

・一般的に闘病記というと、暗く、ネガティブで涙を誘うようなイメージが強いが、本書は闘病記とは思えない明るさを感じた。

・患者から見た医療者の話が、若い世代の視点で書かれており、率直で興味深かった。

・医療者同士が著者の恋愛に関する話を、からかうような口調で話しているのを、偶然、本人が聞いてしまった場面に重い気持ちになった。

・医療者は「患者」というひとくくりの枠にはめて患者を見てしまいがちであるが、患者である前に、さまざまな社会的背景があって生活している「ひとりの人間」として見ていかなければならないと思う。

・将来医療者として患者にどう接すればいいのか、考えさせられる内容だった。

・自殺しても不思議ではない過酷な状況に置かれているにもかかわらず、著者には精神的な明るさと、高い知的水準と、本を執筆するガッツがある。

・女性は本当に痛みに強いと感じた。

・著者は家族と信頼する医療者に支えられているからこそ、痛みに耐え、がんばることができていると感じた。

・闘病記のタイプには、自身の記録や社会的メッセージや自己発散の手段等、さまざまな種類がある。
本書は自己発散のために書かれているように思われるが、著者が外に発信することで前向きに生きようとしていることが伝わってくる。

・注射や採血など、医療者にとってはその日何度もしている医療行為であっても、患者にとっては一度のことである。
患者がその医療行為に対し謝意を表し、医療者もまた協力してくれた患者に対し謝意を表す。そのような、お互いの気遣いが大切ではないだろうか。

次回は、参加者それぞれがお薦めする書籍を紹介しあう会とします。
お気に入りの本や、最近読んでおもしろかった本を持って、ぜひご参加ください!

平成24年度 第2回 7月6日(金)

参加者自身の推薦図書の紹介

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2012年7月6日に「本を読んで話す会」を開催しました。
今年度第2回目は、参加者それぞれがお薦めの書籍を紹介しあう会としました。
初めは少し遠慮がちに、他の人の紹介コメントを聞いている参加者もいましたが、自身の番になると、お薦めの本を手にしたきっかけや、読後、印象に残ったシーンなど積極的に紹介してくれました。
本を読まない若者が増えているというニュースをよく耳にしますが、皆がさまざまな本を読んでいて、その内容をしっかり語ってくれたことに、うれしく、担当者として感心する会でもありました。

会の最後に、今回紹介された書籍の中から参加者による挙手制で、次回の「本を読んで話す会」の対象書籍を決めました。
選ばれたのは、新聞等でも紹介された大野更紗著『困ってるひと』です。
「それ読みたいです!」と参加者の手が次々にあがったこの本、次回の「本を読んで話す会」でぜひ一緒に感想を語りましょう!
次回の開催は9月を予定しています。詳細は決まり次第ご案内いたします。

★今回紹介された書籍★
・長谷部誠 『心を整える。: 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』 幻冬舎、2011.
・宮部みゆき 『レベル7』 新潮社、1990.
・内田篤人 『僕は自分が見たことしか信じない』 幻冬舎、2011.
・山田悠介 『スイッチを押すとき』 文芸社、2005.
・三浦しをん 『風が強く吹いている』 新潮社、2006.
・吉本ばなな 『うたかた』 福武書店、1988.
・角田光代 『八日目の蝉』 中央公論新社、2007.
・オグ・マンディーノ 『十二番目の天使』 求龍堂、2001.
・細川貂々 『ツレがうつになりまして。』 幻冬舎、2006.
・片山恭一 『世界の中心で、愛をさけぶ』 小学館、2001.
・水樹奈々 『深愛』 幻冬舎、2011.
・東野圭吾 『白銀ジャック』 実業之日本社、2010.
・養老孟司 [ほか] 『復興の精神』 新潮社、2011.
・中村安希 『インパラの朝 : ユーラシア・アフリカ大陸684日』 集英社、2009.
・クリストフ・バタイユ 『安南 : 愛の王国』 集英社、1995.
・エヴェレット・D・L 『ピダハン : 「言語本能」を超える文化と世界観』 みすず書房、2012.
・篠田節子 『静かな黄昏の国』 角川書店、2002.
・ジェームズ・スロウィッキー 『「みんなの意見」は案外正しい』 角川書店、2006.
・樋野興夫 『がん哲学外来入門』 毎日新聞社、2009.
・ダライ・ラマ 『ダライ・ラマ自伝』 文藝春秋、1992.
・中野孝次 『清貧の思想』 草思社、1992.
・野口健 『落ちこぼれてエベレスト』 集英社インターナショナル、1999.
・クンサン・チョデン 『ダワの巡礼 : ブータンのある野良犬の物語』 段々社、2011.
・鷲田清一 『「弱さ」のちから : ホスピタブルな光景』 講談社、2001.
・鷲田清一 『じぶん・この不思議な存在』 講談社、1996.
・大野更紗『困ってるひと』ポプラ社、2011.

平成24年度 第1回 6月7日(木)

若き友人たちへ : 筑紫哲也ラスト・メッセージ

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2012年6月7日に「本を読んで話す会」を開催しました。
今回の対象図書は、筑紫哲也著『若き友人たちへ:筑紫哲也ラスト・メッセージ』です。

著者の筑紫氏は、2008年に亡くなった著名なジャーナリストです。
学生たちには、テレビのニュース番組のキャスターとして記憶に残っているようでした。
今回、参加した学生の中で本を読んできたのは少なかったのですが、他の参加者の感想を聞くうちに、学生たちも「読んでみたい」と興味が湧いてきた様子でした。

参加者の感想やコメントです。

・情報があふれている中で、何が一番大事なのか、自分で考えて判断し、時には自分が信じていることも疑ってみるという内容が特に印象に残った。

・本書のあとがきに掲載されている文章は、著者が「16歳の時に書き綴った」とあるが、高校生でこのような文章を書いているのはすごい。語彙が豊富だと思った。

・筑紫氏は原爆や沖縄の問題について、特に強い関心を持ち、本書でも触れている。
私たちは戦争を体験していないが、知っておかなければならないし、過去の記憶や記録を、次世代に継承していくことは大事である。

・人の心の中にはすばらしい面もあるが、同じ人間同士でありながら殺し合いをするような、残酷な面もある。
戦時中は、原爆投下やアウシュヴィッツの惨禍についても、それらの渦中にいると想像力が欠如し、平気で異常な行動をとってしまう。
広島、長崎の原爆資料館を訪れ、いろいろなことを考えさせられた。訪れたことのない人はぜひ一度足を運んでほしいと思う。

次回は7月上旬に開催の予定です。
いつもと趣向を変えて、参加者それぞれがお薦めする書籍を紹介しあう会とします。
お気に入りの本や、最近読んでおもしろかった本を持って、ぜひご参加ください!

平成23年度 第5回 12月22日(木)

神様のカルテ2

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2011年12月22日に「本を読んで話す会」を開催しました。
今回の対象図書は、前回の対象図書の続編、『神様のカルテ 2』(夏川草介著)です。

第一作は、地域医療や終末期のケアなどが主要なモチーフとなっていました。二作目は、「医師不足」がひとつの大きなテーマになっています。読んだ人からは、前作よりも読みやすく、内容もよかったという感想がありました。

参加者の感想やコメントです。

・終末期を迎えた副医院長先生のために、病院全体を巻き込んで行われた、あるイベント。ひとりの患者のために、スタッフが一丸となったこのシーンに、多くの人が感動したと思う。先生が亡くなる場面が一番印象に残っている。

・小説も映画もよかったが、映画では、いくつかのエピソードが削られていた。また、登場人物のイメージも違う気がした。読者の想像力を喚起するという点でも、小説のほうがよいと思った。

・作者は、今日の医療問題とそれに対する疑問や憤りを、主人公を通して訴えていると思う。

・善意と自己犠牲で成り立っている“古き良き時代”の日本の医療を、このまま継続することはできない。次世代へ医療をどう受け継いでいくか、何らかの制度を考えなければならない。

・どの職種でも、経済効率の視点は欠かせないものである。しかし、製造物を提供して利益を得る業種とは違い、実体のないものを提供する医療や教育は、お金で換算できない、経済では論じられない部分もある。

・最近、「終活」という言葉をよく耳にする。終末期を支える在宅看護や訪問看護は、今後、ますます必要とされる。将来、“どこでも自分の看護を提供できる”看護師になってほしい。そういうスキルを磨くことは国際のフィールドでの活躍にもつながる。


会の最後に、喜多学長と吉永図書館長からは、「この冬休みに、たくさん本を読んでください」との言葉をいただきました。

次回の開催については、決定次第、ホームページ等でお知らせいたします。

平成23年度 第4回 11月17日(木)

神様のカルテ

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2011年11月17日に「本を読んで話す会」を開催しました。
対象書籍は、今年度第1回目の会で、1年生の参加者から推薦された『神様のカルテ』(夏川草介著)です。
2010年の本屋大賞で第2位を獲得し、この夏に映画も公開されました。

地域医療や終末期のケアなどが主要なモチーフとなっているこの作品の登場人物に、将来、医療者となる自分の姿を重ねて読んだ学生も多かったようです。
「映画を観た」という学生もあり、本からイメージする人物像と、それを演じる役者とのイメージの違いにも話が及びました。

参加者の感想やコメントです。

・末期がんの患者 “安曇さん” が、主人公の医師が勤務する地域の病院に受け入れられ、徐々に医師と信頼関係を築いていく様子に、自分も頼られる医療者になりたいと思った。

・末期の患者に対して、どのように接するかということを考えさせられた。

・患者の希望に応えられるような病院の雰囲気づくりも大切だと思った。

・アルコール依存症患者の複数の症例があげられていたが、看護師としてそのような患者に、行動変容をうまく促すことが出来るかどうか不安に感じた。

・主人公たちが住む御嶽荘から “学士殿” が去っていく場面は、その情景が浮かび、彼の花道を作って見送る “男爵” の姿に男の友情を感じた。

・患者と医師の人間関係は、病院の規模の大小を問わず、どこであっても変わらない。相手を理解し、人間関係を築くことが大切である。

・文学作品というより、地域医療へ関心を持つきっかけとなる読み物であると思った。これを端緒として、実際に地方の中・小規模の病院で働く医師や看護師に話を聞く機会を持つことができれば、さらに関心も深められるのではないか。

・大学病院、地域の病院、それぞれに役割があり、それぞれの役割が機能することで地域住民、患者の健康が守られる。看護者として仕事をする場合、それがどんな場であっても、患者とどのような関係を構築するかが重要。

会の途中、小児科の医師である吉永図書館長からは、ご自身の研修医時代の経験が語られました。
「医療の現場では、必ず印象に残る患者に出会うんだよ。それは自分自身がその患者から何かを学んだから」との言葉に、一同、うなずくことしきりでした。

参加者のリクエストによって、次回の対象図書は、続編の『神様のカルテ 2』となりました。
開催は12月22日(木)12:20、会場は、今回と同じレストランアスティの予定です。
詳しくは、ホームページ等で追ってお知らせいたします。

平成23年度 第3回 10月5日(水)

トイレの話をしよう:世界65億人が抱える大問題

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2011年10月5日に「本を読んで話す会」を開催しました。
対象書籍は、『トイレの話をしよう:世界65億人が抱える大問題』です。

会の冒頭、昼食時のレストランで“トイレ”をテーマに語ることについて、吉永館長から「時と場所をわきまえて話をするということは、マナーとして大切です。それと同時に、看護師は、排泄介助などを日常業務として行い、業務の合間に食事をとることもあります。マナーについて理解したうえで、そうしたことに慣れておくことも必要ですので、今回は、あえてこのような場で語り合います」とのコメントがありました。

今回、アフリカの6、7カ国に滞在経験があり、青年海外協力隊の看護師隊員として活躍された堀井助手にも、滞在中のトイレ体験談をお話いただきました。トイレというものがまったく存在しない状況で、堀井助手が自分だけのトイレをどのように獲得するに至ったか、その抱腹絶倒の内容に、参加者一同、爆笑するやら頷くやら。皆、興味津々の面持ちで耳を傾けました。

参加者の感想やコメントです。

・水洗トイレを使用することは、水をたくさん使うということであり、水資源が豊かでないと水洗トイレを設置できないことにあらためて気づいた。

・昔の日本の家庭には排泄物を貯蓄する「肥溜め」があり、畑の肥料として利用する習慣があった。また、蒸気機関車では、トイレの排泄物がそのまま外へ出されていた。ヨーロッパでも、昔は排泄物を川に流すなど、処理する知識がなく衛生的に問題があった。

・世界にはトイレそのものがない地域が数多くある。住民は外で用を足すのだが、徐々に排泄の場は進化する。その過程は、まず排泄の場所を決める。次に、穴を掘って用を足すようになり、やがては囲いを設け、個室を希望するようになる。

・排泄には、流す文化と溜める文化があり、排泄後の処理については、洗う文化と拭く文化がある。イスラム圏のある地域では、排泄後の洗浄のために女性はヤカンを持ち歩く。また、地域によっては、枝葉を使ったり、縄で拭いたりする地域もある。排泄後の処理の文化と温水洗浄便座の普及とは、密接な関わりがあると思われる。
 
・排泄物をいかに少量の水で流すか、また、温水洗浄便座では、どの角度で水が出るようにすればいいか等、日本のトイレに関する研究や技術には目を見張るものがある。

・排泄の問題は病気や健康問題と大きな関わりを持つ。UNICEF(ユニセフ)では、子どもの健康を守るための支援策を推進しており、WHOも支持している。

・排泄は、食と同様に大切なことである。健康を維持するためには、排泄がいかに大切かを理解していなければ、いいケアもできない。


次回は11月末を予定しています。内容が決まり次第、ホームページでお知らせします。皆さん、ぜひご参加ください。

平成23年度 第2回 7月6日(水)

わたしを離さないで

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2011年7月6日に「本を読んで話す会」を開催しました。
対象書籍は、先月開催されたこの会で「次回、ぜひ読んでみたい」という声の多かった、カズオ・イシグロ著『わたしを離さないで』です。

読者の多様な感性を刺激するこの作品、“記憶”や“臓器移植”など、どこに視点を置くかによって感じ方もさまざまだったようです。
映画化もされており、参加者からは「映像で観てみたい」との声もありました。吉永図書館長からは、“臓器移植”に関連して、柳田邦男の『犠牲:サクリファイス』(当館に所蔵しています)の紹介もありました。

今回は「本を読んでいないけれど話を聞きたい」と参加した人も多く、会の後半は、各人の好きな作家や小説の話題で盛り上がりました。

次回は夏休み明けを予定しています。
対象書籍は、吉永館長もおすすめの 『トイレの話をしよう:世界65億人が抱える大問題』(ローズ・ジョージ著、 日本放送出版協会、2009.)です。
「この香り、水路の5番だぜ―下水道ツアー」「トイレを見れば、あなたがどんな人間かわかります―26億人と“トイレ大臣”」など、目次を見ても面白そうな内容です。読んだら誰かに話したくなるトイレネタがあるかも!?
みなさんのご参加をお待ちしています。

平成23年度 第1回 6月15日(水)

参加者自身の推薦図書の紹介

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2011年6月15日に、今年度最初の「本を読んで話す会」を開催しました。
今回はいつもと趣向を変えて、参加者それぞれがお薦めする書籍を紹介しあう会としました。

「みんな来てくれるだろうか?」、「本の紹介をしてくれるかな?」と心配していた担当者でしたが、そんな不安は杞憂に終わり、参加した15名それぞれが多様なジャンルの書籍を紹介しあう和やかな時間となりました。

会の最後に、今回紹介された書籍の中から参加者による挙手制で、次回の「本を読んで話す会」の対象書籍を決めました。
圧倒的多数で選ばれたのは、この春に映画化もされた、カズオ・イシグロ著『わたしを離さないで』です。
紹介された内容に、参加者のみなさんも興味津々の様子だったこの本、次回の「本を読んで話す会」でぜひ一緒に感想を語りましょう!

次回の開催は7月6日のお昼休みを予定しています。
開催内容は後日ご案内いたします。

★今回紹介された書籍★
・河田惠昭 『津波災害:減災社会を築く』 岩波書店、2010.
・広瀬弘忠 『人はなぜ逃げおくれるのか:災害の心理学』 集英社、2004.
・広瀬弘忠 『災害防衛論』 集英社、2007.
・高田 純 『核爆発災害:そのとき何が起こるのか』 中央公論新社、2007.
・小川洋子 『博士の愛した数式』 新潮社、2003.
・細川佳代子 『花も花なれ、人も人なれ:ボランティアの私』 角川書店、2009.
・夏川草介 『神様のカルテ』 小学館、2009.
・リンダブックス編集部 『99のなみだ:涙がこころを癒す短篇小説集』 泰文堂、2008.
・星野道夫 『旅をする木』 文藝春秋、1995.
・高橋克彦 『火城:幕末廻天の鬼才・佐野常民』 PHP研究所、1995.
・有川 浩 『阪急電車』 幻冬舎、2008.
・カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』 早川書房、2006.
・有川 浩 『レインツリーの国』 新潮社、2006.
・東野圭吾 『手紙』 毎日新聞社、2003.
・吉村 昭 『三陸海岸大津波』 文藝春秋、2004.
・ジョージ・ローズ『トイレの話をしよう:世界65億人が抱える大問題』 日本放送出版協会、2009.

平成22年度 第4回 12月3日(金)

青のウルトラマン(川端裕人著『桜川ピクニック』所収)

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2010年12月3日(金)に、第8回目の「本を読んで話す会」を開催しました。

今回の対象書籍は、『青のウルトラマン』(川端裕人著『桜川ピクニック』所収)です。本学にて12月24日に開催予定の国際シンポジウムに関連し、“子育て”をテーマに採り上げました。
参加者は学生、教職員の計8名。参加者全員が子育て未経験者であることから、自身の子どもの頃の話や、両親、きょうだいとの関係などの話題が多くあがりました。

参加者の感想やコメントです。

・昔から児童虐待はあったと思われるが、近所の顔見知りの家など、逃げ場があった。現代は、近所付き合いが減っているため、虐待が起こっていてもそれを止める人がいない。核家族化の影響が大きいと考えられる。

・実習などで自分と年齢の変わらない母親と接する機会があるが、話をしていると、今後の人生設計がしっかりあることに感心する。若くして出産すると、子育てをするうえで起こる問題に対処できないのではないかという思い込みがあったが、年齢に関係なく個々人の問題だというふうに感じ、結婚、出産に対する意識が変わった。

・母親になるということは、自分の人生とともに子どもの人生も考えることになる。肉体的な痛みに強くなるのもあるが、精神面でも強くなるのだと感じた。

・母のことを「母親」という枠でしか見ていなかった。自分が家を出て、違う環境に置かれて、親も一人の人間だということに気づいた。

・子別れ、親別れする時期が来て、親子ははじめてお互いを客観視できるのではないか。子どもである、親であるという意識がないまま、友達のようになっている親子が多いように思われる。きちんと親をしていない親が多く、そのため、親子間のさまざまな問題が起こっているのではないか。

・母親の食の嗜好などが胎児に影響するといわれるが、一方的ではなく胎児、母親ともに影響しあっている。母親の胎内にいるときから人間関係が成り立っている。

・子どもと接するのが気恥かしく、不得手な男子学生や男性看護師がいる。子育てにもそのような部分があって、母親のように関われない人もいるのではないか。

・子どもに対して、クールに接する母親もいる。子どもとの距離のとり方が人それぞれ違うので性別だけでは判断できないところがあると思う。



<おまけ:今回のひとこと>
人は誰もが、父性と母性の両方を持っており、それを使い分けている。
子育てにおいて、夫婦は性別における役割というより、互いが持つ父性、母性の役割を持ってバランスを取り、子どもと関わるのが大事ではないか。(石山准教授)

平成22年度 第3回 10月22日(金)

日本とアメリカ逆さの常識

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2010年10月22日(金)に、第7回目の「本を読んで話す会」を開催しました。

今回の図書は、アントラム栢木〈カヤキ〉利美氏の『日本とアメリカ逆さの常識 』です。
アメリカ人の夫、二人の子どもとともにサンフランシスコに住む著者は、作家として、TVレポーターとして、またアメリカの航空会社スタッフとしても活躍しています。著者が経験した日本とは違うアメリカでの常識に、思わず「え~!そうなの?!」とつっこみをいれてしまいたくなるほど、おもしろい事例が満載の1冊です。


参加者の感想やコメントです。

・日本の男子小学生がよく履いているショートパンツが、日本だけだということに驚いた。日本の男子小学生の制服はパンツの丈が短いから、普段でもショートパンツをはくことに抵抗がないのでは。日本伝統のふんどしの影響があるのではないか。

・服装は自己表現であり、他者へダイレクトにメッセージを発している(と受け取られる)。流行だからといって着ていると、場合によっては他者に誤解を受ける危険性がある。TPOを考えて洋服を選ぶことが大切。

・アメリカ人が歯並びにこだわっていることに、驚いた。多くのアメリカ人が歯の矯正をしているようだが、卒業アルバムに矯正している写真が掲載されることに抵抗はないのだろうか。韓国人は一生残る卒業アルバムのようなものに矯正している写真など載らないよう、卒業前に整形するというのを聞いたことがある。


みなさん、次回の「本を読んで話す会」は、12月に開催される国際シンポジウムを前に“子育て”関連の図書を対象として開催する予定です。ぜひこの1冊を!というおすすめの書籍があるかたは、図書館までお知らせください。


<おまけ:今回のひとこと>
この図書を読んだら、次はぜひ『超・格差社会アメリカの真実』(小林由美著、日経BP社)を読もう!(因図書館長)

平成22年度 第2回 7月6日(火)

大人の時間はなぜ短いのか

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2010年7月2日(金)に、第6回目の「本を読んで話す会」を開催しました。

毎回お昼休みの時間に開催しているこの会、今回は皆がゆっくり参加できるよう、授業の少ない夕方に時間を設けました。授業や演習の後に、ふらっと立ち寄る学生も含め、10名の参加がありました。

今回の図書は、実験的手法を用いて、人間の知覚認知過程や感性の特性についての研究を行なっている著書、一川誠氏の『大人の時間はなぜ短いのか』です。

今回は、かつてないほどの大脱線?!いや、大盛り上がりで、気づけばあっという間に1時間が経過。まさに、“大人の「楽しい」時間は短い”、ということを実感したひとときでした。

参加者の感想やコメントです。

・「時間」というより「視覚(錯視)」に関わる話が大半を占めていた。

・子どものころは、すべてが新しい経験だが、大人になると同じ事を繰り返す毎日が続くため、短く感じるのではないだろうか。

・大人の時間が短いのは、残された時間が短いということであり、(人生の)残りの時間が短いと感じるのは、老いを感じていることではないかと思う。

・代謝が高まると時間がゆっくり進むように感じる。高齢になると代謝が低くなり、「加速度」という言葉でいえば、高齢者にとっては加速度が低いが、若者は高く、そのスピードの差を感じるためではないか。


みなさん、「本を読んで話す会」を“マジメな、堅い読書会”だと思っていませんか?本の内容について話すのはもちろんですが、最近のテレビ番組や、効果抜群の化粧品の話(参加者の個人経験談)など、いろいろな話題におよび、皆で大爆笑する楽しい時間となっています。ぜひ、一度参加してみませんか。


<おまけ:今回のひとこと>
本を読むことは、人の一生を共有することになる。
いろんな人といろんな話をすることは、自分の心の栄養になる。
(喜多学長)

平成22年度 第1回 5月6日(木)

孫の力

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2010年5月6日(木)に、第5回目の「本を読んで話す会」を開催しました。

実習棟1階の学生ラウンジには、本学の学生や教職員10人が集まり、参加した教員の手作りのお菓子もいただきながら、本の感想などを語り合いました。

今回の図書は、島泰三『孫の力』です。
サル学者である著者が、自身の孫を観察し記録した本書には、著者の鋭い観察眼によって、孫がどのように日々成長していくか(著者曰く“心は花のように開き”)、その過程が生き生きと描かれています。
副タイトルにあるように、まさに「誰もしたことのない観察の記録」です。

今回は、参加した教員自身のお孫さんの話もとびだし、終始笑いの絶えない時間となりました。


参加者の感想やコメントです。

・観察とはどういうことか。看護における観察の視点にも活かせるのでは。

・孫が地震の恐怖を克服していく場面は、人のこころが発達しているところを上手くとらえて表現している。
 サルには、人と同じような恐怖に対する心理変化があるのだろうか。

・人間を部分的に観察することは可能だが、一生を通して観察することは難しい。今回の例のように、身近な人(親など)の「老化」を観察することもできる。
 また、自分自身の「老化」について、主観的かもしれないが、記録して他の人と比較することも面白いのではないか。

・「孫の力」というタイトルは内容と一致していないように感じた。もっとおもしろいタイトルがあったのでは・・・。

・最初の言葉が出た時期の後に、急に言葉が出なくなり発熱するといった様子に、なるほどと思った。
 子どもの中に意識と無意識の二重構造が生じているのだという指摘が興味深い。



<おまけ:今回のひとこと>
本学の大学祭にて、島先生にぜひ講演していただきたい!(参加者一同)

平成21年度 第4回 2月26日(土)

木を植えよ!

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2010年2月26日(木)に、第4回目の「本を読んで話す会」を開催しました。

今回の図書は、宮脇昭著『木を植えよ!』です。
春休みを目前に控えたこの日は、残念ながら参加者が少なく、講義棟4階の国際交流センターに集まったのは計5名。
「少ない人数で、盛り上がりに欠けるかな・・・」と不安に思った担当者でしたが、さにあらず。
今回の対象図書には不思議な魅力があり、読んだら誰かに語りたくなるのです。終盤には、先生方の幼い頃の木登り談義まで飛び出して、笑い声の絶えない会となり、担当者の不安は杞憂に終わりました。

参加者の感想やコメントです。

・正しい知識がないまま、「緑を増やそう」というスローガンだけで動いてはいけないということに気付いた。

・都市の中に緑をどう造っていくかが課題だと思う。一種類の木を植えるだけでは森は育たない。

・正しい森、というのがどのようなものかを知った。読了後、木を植えてみたくなった。

・木を伐採した後、それらを燃やすのではなく、土に埋めるか、海に沈めてもいい。自然に返して炭にすればよい。科学的に処理することは、理にかなっている。

・私たちが本来の景観であると思って、保存しようとしているものも、実は人間が手を入れたものだということがわかった。

・植樹の時期は、2月、3月が適している。毎年、卒業記念に皆で植樹し、学校林を育ててはどうだろうか。


次回の「読んで話す会」の開催は4月の予定です。
新入生を迎えて、また和気藹々とした雰囲気で、自由に意見や感想を述べ合う場となればと思っています。
対象となる本のリクエストがありましたら、図書館までお知らせください。


<おまけ:今回のひとこと>
看護との関係があるな、と思ったのは、この本に出てくるnurseryという言葉。
nurseryとは、苗を育てる苗床のことだが、(大事に育むという意味で)苗を育てるのも、人も同じ(南部特任講師)。

平成21年度 第3回 1月21日(金)

分類思考の世界―なぜヒトは万物を「種」に分けるのか

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2010年1月21日(木)に、第3回目の「本を読んで話す会」を開催しました。
講義棟4階の国際交流センターには、本を片手に、本学の学生や教職員11人が集まりました。

今回の図書は、三中信宏著『分類思考の世界―なぜヒトは万物を「種」に分けるのか』です。
さまざまなトピック(聖書や文学、漫画『もやしもん』まで!)から語り起こされる生物分類学の系譜には、著者の博覧強記ぶりが窺えます。
最初に会場に来た学生曰く、「難しかった!」。
そうです、かなり読み応えのある本なのです。

参加者の感想やコメントです。

・メタファーやメトノミーといった議論は、言語学の分野でも何十年にもわたって続いているが、言葉と違って、生物は対象物が存在しているから難しいなと思う。

・「名前がある」ということは「存在している」ということ。ある言葉を、恣意的に「無いもの」とするのは、存在を消すことにもなりかねない。

・看護の分類にも同じことが言えると感じた。あまりに細分化しすぎると、弊害が生じるおそれがある。全体を見ることが大事だと思う。

・文明度が低い地域でも、文化度が低いとは限らない。その文化に固有に存在する概念や、それを表現する言語は、豊かなこともある。

・分類を突き詰めると分からなくなってくる。ざっくり全体を見て、徐々に分けていけば、それぞれの段階で違った価値が見えてくる。

・人間が分類をするのは、分けたほうが居心地がよいからであるが、年齢とともに経験が増えることで、分類のカテゴリも増していく。

「本を読んで話す会」は、来月も開催予定です。ランチ持参で、お気軽にご参加ください。
なお、対象となる本のリクエストがありましたら、図書館までお知らせください。

<おまけ:今回のひとこと>
難しい本も、とばし読みでもいいから、とにかく読んでみること。
社会人になってから気付くことだが、学生時代には時間が
ある(喜多学長)。

平成21年度 第2回 11月26日(木)

初歩から学ぶ生物学

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2009年11月26日(木)に、第2回目の「本を読んで話す会」を開催しました。

ゲート棟2階の交流プラザには本学の大学院生や教職員10人が集まり、お弁当やお菓子(学長からの差し入れ)をいただきながら、本の感想などを語り合いました。

今回の図書は、池田清彦著『初歩から学ぶ生物学』。
本の帯には“生物は「いい加減」で「したたか」だ!”との惹句が書かれており、生物に関するさまざまな話題が幅広く記されています。

話は北京原人に始まり、進化のことから遺伝、言語の習得に関する話題まで、あちこちに飛びながら進みました。
今回は生物学がご専門の先生が参加されたこともあり、折々に専門家の視点からのご意見も伺うことができました。

参加者の感想やコメントです。

・ヒトと昆虫を、同じ分類でパラレルに論議しているのは、やや乱暴な気がします。

・答えのない話をぐるぐる考えるような内容でおもしろかったです。

・擬態はなぜおきるのか。それは意図的ではなく、結果論ではないか。バラエティに富んだ種の生き方の中で、擬態を身につけた生物が結果的に残ったというふうに考えられるのではないだろうか。

・生物の進化の過程において、例えば人間でいうと、手にあったであろう水かきのような部分がなくなって、現在のような5本指のついた形になったように、必要ないものは消失していったが、それは生き残るために便利であったからではないか。

・ひとつの話題に関して多方面からのコメントやウラ話(?)が聞けて面白かったです。専門が異なる先生方ならではだと思いますが、楽しいひとときでした。


「本を読んで話す会」は、当分の間、生命(いのち)に関することをテーマに実施します。
対象となる本のリクエストがありましたら、図書館までお知らせください。

<おまけ:今回のひとこと>
ある事柄に関して、自分の中で基本的な構造ができていると、いろいろなものが入ってきても応用が利く。
それは、言語も、ものの考え方も同じ(喜多学長)。

平成21年度 第1回 10月22日(木)

動的平衡

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2009年10月22日(木)に、第1回目の「本を読んで話す会」を開催しました。

初回の図書は、今、メディアでも評判の福岡伸一氏の著書『動的平衡:生命はなぜそこに宿るのか』です。
ゲート棟2階の交流プラザには、本を片手に本学の学生や教職員11人が集合し、お昼休みのひととき、本の感想などを語り合いました。

この会は、「皆で同じ本を読んで、ひたすら語り合いましょう。別に、評論家が言うようなことを言う必要はありません」というのが誘い文句です。
参加者の話は、本の内容だけに留まらず、あるときは横道にそれながらも進んでいきました。

参加者の感想やコメントです。

・ダイエットや時間の経過の感じ方など、興味を惹く内容でした。

・摂取した物質が、そのまま体内で同じ物質として形成されるわけではないのに、そうした機械論的思考に流されている自分に気づきました。

・生命は分子の淀みである『動的平衡』という表現がうまい(おもしろい)と思いました。

・宇宙のメカニズムが、さまざまな現象を捉えるルールとつながるところがあると感じました。

この「読んで話す会」は、来月も開催予定です。
対象となる本のリクエストがありましたら、図書館までお知らせください。

<おまけ:今回のひとこと>

タイプの異なる本(泣ける恋愛小説と硬い本など)を鞄に
複数冊入れて、バスの待ち時間などにその時の気分に合っ
たものを取り出して読んでいます。
おかげで鞄はいつも重い(因図書館長)。