すべての人々のPeaceful Nightを願って

 新しい年が明けました。今年のお正月は昨年とうってかわって穏やかでいいお正月でしたね。今年一年、元旦に象徴されるような穏やかな年になってくれることを願いつつお正月明けの仕事に励んでいます。そして、昨日、中東ガザ地区の停戦が合意されました。新年最初の明るいニュースです。これをきっかけに中東に平和が訪れるといいですね。
 昨年末には、Peaceful Nightというイベントを大学で開催しました。学生さんのコンサートに続き、みんなでAmazing Graceを歌い、世界に関するクイズを楽しみ、世界平和を祈って黙祷を捧げました。Illumination
 このイベントに合わせて、ささやかですが大学キャンパス内にイルミネーションを飾りました。「光」はそれ自体、祈りの意味があります。このイルミネーションを見るたびに世界平和を祈ってくれる人がいればと願っています。
 さて、このイルミネーション、今では様々な場所で見られるようになりましたが、わたしが留学したころは、まだまだ日本では一般的ではありませんでした。なので、渡米した最初の冬に、一般家庭が家の周りに豪華なイルミネーションを飾っているのを見て驚きました。さらに驚いたのは、冬の間中ずっと飾ってあることです。というのは、当時わたしは、イルミネーションはサンタさんがプレゼントを渡すために、自分の家を見つけてもらいやすくするために飾るものだと思っていたからです。不思議に思い、アメリカ人の友人にイルミネーションの目的を尋ねてみたのですが、あまりはっきりした答えはもらえませんでした。ですが、ひと冬過ごすうちに、気が付きました。イルミネーションは、来る日も来る日も雪に覆われたモノトーンの暗い街を照らして、ひとびとの気持ちを少しでも明るくするためのものだったのです。アメリカ中西部の冬は極寒・豪雪で、毎日毎日雪が降り、一日の最“高”気温が―20℃だったりします。吹雪いたりすると外出もままならず、本当に気の滅入る季節でした。なので、無理にでも気持ちを明るくするために、わざと“Holiday season”という楽しげな表現をしたり、イルミネーションで明るく彩ったりするのだと思います。
 屋外を飾るイルミネーションは、通りすがりの人に見てもらうためのものです。アメリカの文化は、嫌になることも多々ありましたが、見ず知らずの人を幸せな気持ちにする習慣はいいものだと思います。わたしも、病院の廊下を歩いていた時、廊下に配置してあるプランターの手入れをしている人から、さっと目の前に花を一輪差し出され「これ、折れてたからあげる」と言われたことがありました。日本人だったら、そのまま捨てるか、自分で持ち帰って花瓶に飾るか、くらいだと思います。素敵な習慣だな、と思いました。
 世界には戦争や内乱のために、安らかな気持ちで眠りにつくこと、すなわちPeaceful Nightを過ごせない人がたくさんいます。ひとりひとりが目の前のひとを幸せな気持ちにすることで、その行為が拡がっていき、平和な世の中につながることを願ってやみません。