国際化は何のため?

 本学は大学名に「国際」とあるように、国際感覚を培うことを目指しています。なので、英語教育には力を入れていますし、海外での研修や、海外からの研修受け入れも積極的に行っています。去る6月28日には、ハワイ大学からゲストをお迎えして国際シンポジウム/国際フォーラムを開きました。
 では、なぜ国際感覚を身に着けるのでしょう?もちろん、赤十字の使命である人命救助のために海外に行ったときに、多様な国籍の人たちとコミュニケーションがとれなくてはいけませんし、何等かの支援を海外で行う際に、現地の文化・風俗を尊重し地元の方々への敬意を払うためには、国際的な感覚が不可欠です。
 でも、それだけではありません。日本国の教育基本法には、その前文に「…世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。」とあり、第二条 教育の目標には「…他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」とあります。
 そう、世界平和を実現するためなのです。メディアで報道される紛争被害者の声は、母国語が英語ではない場合も、英語で話されることが多くあります。英語が聞き取れると、吹替や字幕とは違う、生の声を聴くことができます。
 また、宗教の影響の少ない日本に住んでいると、宗教をめぐって命をかけた争いが起きることについて理解しがたく感じることがありますが、実際に宗教が生活の中に浸透している国に行ってみると、いかに宗教がひとのこころの奥深く染み込んでおり、その人そのものを作っているかがわかります。
 なので、宗教に関して人をからかったりするのは絶対にやめましょう。アメリカ留学中、日本人学生が、無脊椎動物を食べてはいけない宗教の人に、騙してうなぎを食べさせたことがありました。食べた人は、あとでそのことを知って「死ぬぅ~」と言っていたそうですが、それ以上大きな問題に発展しなくてよかったです。
 実はわたしも、授業のプレゼンの準備をしているとき、一緒に発表するタイ人の学生に王様をパロディにする提案をして、叱られたことがあります。タイ国民が心底敬愛する王様のことを軽々しく考えて申し訳なかったです。
 虹世界にはさまざまな価値観をもった人々がいます。多様な価値観があることを知ることから始めましょう。もちろん、なかには、明らかに「悪」と言えるような価値観もあります。ですが、まずはそれを信じる人がいることを認めることで、柔軟な考え方が身につくと思いますよ。本学の学生さんには、大空にかかる虹のように、世界各国をつなぐ架け橋になってほしいと願っています。

 ところで、前回のあじさいの写真には、わたしたちと共に地球に住む小さな仲間が映っていますが、気が付きましたか?写真をクリックすると拡大するので、見つけてくださいね。