国際保健・看護Ⅲ -スイス ラ・ソース大学での研修に参加しました-

2月26日から3月15日までの約3週間、国際看護コースの稲田真心と山下希亜の2名は国際交流協定校であるスイスのラ・ソース大学での研修に参加しました。

稲田はメンタルヘルス領域を研修テーマにしました。精神科患者の長期入院という日本の実態から、精神科患者に対する偏見や差別、それに伴う地域での生活困難が課題であると考え、それらにおける両国の取り組みを理解することを研修目的としました。スイスでは精神科患者と人々との交流を大切にし、メンタルヘルスに関するポスターの掲示や精神疾患を持つ患者の描いた作品を常時展示している美術館など、精神疾患患者と地域が交流できる場を設けていました。また医療においても『地域で精神科医療を提供する』という考え方が定着しており、患者のニーズに合わせた様々なケアが提供されていることを学びました。

山下は母性看護領域を研修テーマにしました。日本では周産期の母親への育児支援が整っていますが父親への支援には課題があると考え、産前・産後における病院やクリニック、地域での母親・父親の育児力を高めるための取り組みについて、両国の共通点、相違点を探究することを研修目的としました。スイスでも父親に対するサポートが少ないことを問題視している人が多くいました。父親の育児休暇は1日から2週間に改善されましたが、日本同様母親は家庭で家事や子育て、父親は外で仕事といった固定観念が特に年配の方にあり、父親の育児休暇の取得を社会全体で取り組むことへの難しさを学ぶことができました。

講義や実習にも参加しました。「greener care」という講義では、環境問題と看護ケアの質を比べながら議論し、とても興味深かったです。病院での実習はスイスの学生と二人一組で行い、産婦人科や整形外科救急、ICUに行きました。スイスの学生は日本と異なり、問診、与薬、注射、カルテの記入等、すべて学生自身が実施します。Regaという施設訪問では、レスキューヘリコプターについて学びました。多くの登山客が訪れるスイスでは山岳救助も多くなります。視界が悪い際のルート解析や特殊ゴーグルを使用した夜間救助等、日本とは異なる救助方法や手段について学ぶことができ、興味深かったです。

週末は首都のベルンやジュネーブ、カイエのチョコレート工場の訪問、スイスの学生とカフェ巡りなどしました。スイスの歴史ある街並みや、食文化に触れることができ、とても充実した3週間となりました。

2024.04.01_①スイス
ラ・ソース大学の前

2024.04.01_②スイス【jpg変換】
国際連合ジュネーブ事務局の前にある椅子のオブジェ

2024.04.01_③スイス【jpg変換】
スイスの山岳救助ヘリrega