第49回フローレンス・ナイチンゲール記章授賞式に参加して

2023年7月27日、第49回フローレンス・ナイチンゲール記章授与式へ参加させていただきました。放射線看護活動へ尽力された草間朋子氏、11カ国17回の様々な国際救援活動を行ってきた髙原美貴氏、看護教育の基礎を築き地域と看護をつなげることを大切にして看護小規模多機能型居宅介護事業の展開も見据えている今村節子氏の御三方の功績を表彰する場に同席できたことは、とても貴重な体験となりました。

式が終わり、後半には御三方の講演会も開かれたため出席しました。

草間氏は、ご本人が看護学生だった頃、看護に対する自信がないことへ不安を抱いていたとのことで、その経験から自信をもって看護師として看護を探求できる人材を育成したいという思いが活動の根底にあるということを伺いました。その思いのもと、放射線看護という専門領域での研究へ尽力されたこと、恩師に背中を押され研究を後輩へ継ぎ、自律を目指した看護教育の具現化へも尽力されたことを知り、ご自身の経験からこれからの看護師育成の向上へ繋げられていることに感銘を受けました。

髙原氏は、紛争地域で犠牲者の救援に携わり、多方面からの情報収集によりアセスメントして全体を把握し看護を提供することを第一に取り組まれていました。それとともに、さらには、救援者が撤退した後でも被災地の人々の生活が保障されるように関係機関との連携や調整、教育など持続可能な方法で被災地を守られていることを知りました。また、その中で被災地の人々の価値観や文化を守り、日本とは異なる海外の宗教の信仰心なども大切にして人道に沿った活動であったことは、国際救護活動に興味がある私達にとって忘れてはいけない視点であると感じました。また、この賞は被災地の方に捧げたいという言葉がとても印象的でした。

今村氏は、教育体制の構築に尽力されました。当時は看護というものが内容や理念、技術が根拠に基づくものではなかったため専門分野としてなかなか認められなかったといいます。こうした時代の中で、湯槇ます氏(第26回ナイチンゲール記章受章者)らと教育方法を試行錯誤し、看護の考え方を改め「看護は論理的で科学的」という概念を与え看護に対する考え方を変化させていったことを知りました。将来看護を提供する私たちは、もう一度基本に立ち返って看護の意味や根拠を考えながら患者さんを思いやった看護を提供していくことが大切であると改めて考えさせられました。また、看護師のキャリア開発や地域共生社会のために、私財を提供し助成したり、施設の開発を進められたり、生涯を看護に捧げられている方でありとても感銘を受けました。

私たちは、このような素晴らしい賞を受賞された御三方の体験談を聞くことができ、今後の看護師人生における活力となりました。人の役に立ちたいという思いを忘れずに日々精進していきたいと思いました。

学部4年 一川いぶき 小野田りお
2023.07.27ナインゲール写真_下川ひろみ