平成30年度前期公開講座「目からうろこの介護講座」を開催しました

2018年6月2日(土)10:00~12:00に「目からうろこの介護講座」と題して、今年度最初の公開講座を開催しました。

今回の講座は座学ではなく、参加者が実際に動いて体験して学ぶ方法で行いました。まず初めに、日常生活における基本動作として、椅子からの立ち上がりを学習しました。例えばベッドからポータブルトイレや車いすに移動(逆も)するには「重い自分のおしりを座面から挙げることができるか」ということが重要になるからです。参加者の皆様は大変熱心で、実際に色々と動いて学習されていました。

今回の講座は人間の解剖生理やフィードバックシステムなどを基盤にした介助方法の紹介でした。我々は地球という重力場で生活をしていますが、普段、自分の重さ(重力)を意識してコントロールしながら生活はしていません。先日も宇宙から地球に帰還した金井飛行士が着陸後に「改めて重力を感じた」とおっしゃっていました。しかし、人間は無意識に自分で自分の重さを引き受けてコントロールしながら動いています。そして、人間は重力を受けることによって、重力のある環境(地球)で生活ができるように筋肉や骨を維持しようと働いているのです。つまり、なるべく最期まで自立して生活していくには、自分の重さを自分で引き受けコントロールできるような介助をしたほうが良く、健康増進にも良いというわけです。しかし、現在、一般的に普及している看護・介護方法は人間を「抱え上げ、持ち上げる」方法です。人間をなるべく荷物のようにコンパクトにまとめて抱え上げます。本人の能力や重さを無視し、介護者に本人の重さを引き受けさせています。

想像してみてください。毎日60㎏の人を何度も持ち上げていたら…腰を悪くするだけでしょうか。人を持ち上げる時に呼吸を留め、血圧は上がり、心拍数は早くなります。逆に持ち上げられる自分を想像してみてください。持ち上げられることで緊張して体がこわばり、呼吸が留り、血圧は上昇し、心拍数は早くなり、交感神経も興奮します。本人のためを思って行われる介助が、お互いの健康を害する行為になってしまうことも考えられるのです。

これからの少子社会において、自分自身の健康増進(自助)と介護家族の介護負担の軽減の観点からも、介護される人も介護する人も楽で健康になれる介助方法について、地域の皆様とより一層、学習できる機会を持ちたいと思いました。

2018.06.02.前期公開講座 乗越

地域連携室