被災地の今 ~「石巻ゆいっこプロジェクト」に参加して~

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2011年3月11日、東日本大震災。あれから2年と6か月が経ちました。

本学は2011年8月に学生、教職員、赤十字関係施設職員の総勢81名で被災地でのボランティア活動を行いました。その後、1度も宮城県を訪れていなかった私は、9月7日・8日に石巻市と石巻赤十字病院が共同で行っている「石巻ゆいっこプロジェクト」に参加させていただきました。この活動は生活不活発病の予防、深部静脈血栓(DVT)保有者の検出・フォローアップと希薄になったコミュニティの再形成を目的としています。震災直後は、通常の100から200倍の陽性率でDVT保有者が検出され、継続的なフォローを現在も行っています。問診では、震災後に車内や避難所で過ごした期間を記載する箇所があり、多くが自宅ではない場所に避難していた方々でした。また震災後の活動量を問う質問には「娘も孫も亡くして、生きる気力がなくなって、あまり出歩かなくなった」と涙ながらに話す方や、ヘドロを運んだり、何時間も歩いて親戚の家に避難したことで足腰に関節痛が生じ、活動量が低下していると話す方もいらっしゃいました。また、この検診に来ることで、半年ぶりに家を出たという方もいらっしゃいました。2日間の活動で診察した265名中、DVT陽性者は27名にのぼりました。

この活動に参加して、改めて感じたことは“赤十字”に向ける住民の信頼です。ほんの数分の問診の中で、参加者は自身の心の内を見せ、辛い思いを吐露してくださいました。九州から来た私に対しても、よそ者ではなく赤十字職員として温かく迎え入れてくださいました。石巻赤十字病院のスタッフの方々も同様に、チームの一員として受け入れてくださって、赤十字の“絆”を感じる2日間となりました。

皆さんは、遠く離れた九州から、今も津波の記憶と共に生きる方々へ思いをはせているでしょうか?2年半が経過して、ようやく津波のことを話しだす子どもがいるそうです。復興はまだまだ始まったばかりです。