共同大学院

看護学研究科 共同看護学専攻 博士課程

設置の趣旨・特色

設置の趣旨

学校法人日本赤十字学園が運営する日本赤十字北海道看護大学、日本赤十字秋田看護大学、日本赤十字豊田看護大学、日本赤十字広島看護大学、日本赤十字九州国際看護大学の5大学は、それぞれに「共同看護学専攻」を設置しました。
この5専攻は共同して一つの教育課程を編成し、博士課程の教育・研究を実施します。
「共同看護学専攻」では、これまでに5大学が蓄積してきた教育・研究資源を一体的、有機的に機能させることにより、5大学の教育・研究を融合し、シナジー効果を発揮させ、看護学の「知の共同体」としての多様化、多層化した「共同教育課程」という新たな教育研究環境を学生に提供します。
学生は、専用回線で結ばれた遠隔教育システムを用いて、5大学の様々な経験をもつ多くの教員の多様な考えや発想に触れる機会が与えられ、学生個々のニーズや能力等に応じた専門領域の垣根を越えた「オーダーメイド」な教育・研究指導を受ける機会が保証されます。
「共同看護学専攻」は、看護の諸現象に関する研究成果の発展的活用に向けた教育・研究活動の一層の拡充を図り、「知の共同体」で得られた高度な実践知を基盤として、あらゆる看護現象に対してアプローチし、理論や実践方法の創造ができる教育・研究者、自立した研究と研究指導ができる研究者、知的複眼思考・論理的思考に基づき発展的に看護を実践できる実践者の養成を目指します。

特色

  • ● 学位は、共同教育課程を構成する5大学の連名により、授与されます。
  • ● 学生は、主指導教員が在籍する大学に学籍を置くことになります。
  • ● 学生は、5大学の施設等を利用することができます。
  • ● 学生は、学籍を置く大学以外の大学の副指導教員からも、研究指導が受けられます。
  • ● メディアを利用した遠隔授業により、各大学で開講する講義を、学籍を置く大学から受講することができます。
学位の名称 博士(看護学)
入学定員 2名
標準修業年限 3年
長期履修制度あり(詳しくはこちら)

博士課程 大学院生の声 ※クリックで展開

大学院看護学研究科 共同看護学専攻博士課程

福田 陽子さん

大学院で学ぶこと

大学院では、学びを発展させ、研究を通して社会へ貢献していきたいと思っています。自己研鑽を深め、同時に積み重ねていく必要がありますが、どうしても難しく感じる時があります。日本赤十字九州国際看護大学 看護学研究科 共同看護学専攻 博士課程では、日本赤十字学園が運営する5大学の先生方と意見交換できる機会があり専門領域の垣根を超えた指導を受けることができます。また、遠隔教育システムを設立当初から導入しているため、現代社会においても安定した教育を受けることができ、恵まれた環境で研究を行うことができます。

大学院看護学研究科 共同看護学専攻博士課程

米元 富貴代さん

私の目指すもの

私は、精神看護学における教育方法を探求し、普遍的な価値をもつ教育を実践したいという目標を抱いており、その目標に向かって大学院で学ばせていただいております。
前期の授業が終了しました。授業では先行の研究論文についてのクリティークの方法や先生方の考え方などを拝聴し、論文の解釈の仕方や研究方法などのノウハウを学ぶことが出来ました。より専門的に学ぶことにより新たな知識を得てひときわ気持ちが引き締まる思いです。仕事と勉学の両立は予想した以上に大変ではありますが、大学全体できめ細かいサポートをしてくださるおかげで安心して学べることが出来ています。まだ研究も端緒についたばかりですが、私の目指す教育を目指して日々努力していきたく存じます。

博士課程 修了生の声 ※クリックで展開

阿部 オリエ

看護学研究科 共同看護学専攻博士課程

阿部 オリエ

博士課程進学の理由

大学に助手として入職した当初より、博士課程も含めた大学院への進学を考えていました。

研究した内容

私の博士論文の題目は、臨地実習における看護系大学生のケア実施に伴う看護上の判断育成に向けた臨地実習指導者の関わり:成人看護学(急性期)実習に着目してです。私は、看護系大学生への育成すべきコアコンピテンシーとして、学生自身で看護上の判断ができるようになることが喫緊の課題であると考えています。そこで、臨地実習における「学生の看護上の判断」の概念分析を行い、属性の一つとして、「ケア実施に伴う決定」を特定するに至りました。現在、臨地実習における学生へのケアの指導は、9割以上臨地実習指導者が担っている現状があります。そのため、学生と共にケアを実施している臨地実習指導者の、学生へのケア実施に伴う看護上の判断に対する関わりを明らかにすることで、学生のケア実施における看護上の判断育成に向けた示唆を得ることができると考えました。その結果、ケア実施前、実施中、実施後に、臨地実習指導者は学生自身で看護上の判断ができるようになるために、多様な関わりを行っていることを可視化することができました。

博士号取得後の抱負

この度、博士号を修得しましたが、本学位記は、研究者としての自立に向けた通行手形だと考えています。そのため、博士課程の修了は、ゴールではなくスタートです。今後は、看護基礎教育、看護継続教育を見据えた看護人材育成に邁進できたらと思います。その一プロセスとして、いつの日か、博士号の学位取得を目指すべく人材の育成に携わることができることを夢見ています。

後進へのメッセージ

博士課程で学ぶにあたり、とにもかくにも、目の前にある課題をこなすことに必死でした。特に、仕事をしながら、育児に追われながらの取り組みでしたので、研究時間を確保することだけに注力した日々だったように思います。課題に取り組むにしても、時間が取れず焦り、焦ったところで課題は溜まっていく一方で、八方塞がりの苦しみを味わいました。そのような中、その状況も含めて「俯瞰」しようと努力しました。数々の挫折や失敗も含めて「俯瞰」するよう努めました。そうすることによって、物事を見る角度が変わりました。角度が変わると、気持ちに余裕が生まれ、いつしか八方塞がりから脱することができていました。終わってしまえば、充実感と達成感で胸いっぱいです。しかし、再度、博士課程に戻れるかと問われれば、二度と戻れません!!と断言できるくらい、苦しくて辛い日々だったようにも思います。でも、それを味わうことが博士課程の醍醐味であるなとも思います。継続は力なりです。

矢野 真理

看護学研究科 博士課程

矢野 真理

私が博士課程に進学したきっかけは、現在の超高齢社会を背景に課題とされているエンド・オブ・ライフケアにおける超高齢者の療養場所選択について、急性期病院の熟練看護師が行う意思決定支援の実践知を明らかにし構造化したいと考えたからです。

博士課程では、修士課程以上に知的複眼思考・論理的思考を求められるため、道のりは簡単なものではありませんでした。しかし、博士号取得まで辿り着けたのは、本学や5大学の多様な知識を持つ先生方から多くのご指導を頂く機会があったこと、また、学友の様々な領域の経験を共有することが出来たからだと思います。この様な時間は、人生において大変貴重な宝物となりました。

今後の目標は、この研究結果を看護教育機関もしくは臨床現場において活用し、一人でも多くの超高齢者が尊厳ある終焉を迎えられるよう、看護師教育に貢献することです。

皆さんも是非、共同看護学専攻 博士課程に進学し、有意義な時間を過ごしていただければと思います。