映画『Sicko』


著者情報等マイケル・ムーア監督・製作・脚本、2007.
寄稿者名1年生 日比生 利輝、甲斐 渚彩、宮城 由佳(2011年6月)
本学所蔵なし
M・ムーア監督の『Sicko』という映画を紹介します。この映画は、アメリカの医療制度や医療保険の現状を伝え、アメリカと他の国の医療の違いを監督自身が取材し、自分の目と耳を通して理解していくものです。

 まず、アメリカの医療保険のひどい実態が様々な人の実体験を通して描かれます。その過程でアメリカの医療保険に関する歴史が明らかになります。その次に、アメリカと他の国の医療の違いを知るために、M・ムーア監督はカナダやフランスなどの国へ赴き、その国の医療の下での実状を現地の人々から聞き、アメリカの医療制度と比較して、わかりやすく示してくれます。

 この映画でM・ムーア監督は、アメリカでも他の国のような社会主義的な医療制度を目指していくべきだと主張しています。シリアスな内容の映画ですが、M・ムーアのコミカルな編集のおかげで、最初から最後までわかりやすく見ることができます。この映画を見て、社会主義的な医療制度が全世界で広まれば、病気や怪我で苦しむ人々が安心して医療が受けられると思いました。私も看護職に就いたら、そういった医療が広まるように活躍していきたいと思います。皆さんもぜひこの映画を見てください。

【日比生 利輝】


 『Sicko』は、米国のマイケル・ムーア監督によるドキュメンタリー映画で、監督自身が語り手となって、アメリカの医療保険制度の問題点を明らかにしていきます。アメリカにも日本同様、医療保険制度があります。しかし、保険会社が無理やり契約違反を見つけ出し、保険料が支払われないことも多く、多くのアメリカ国民が多額の医療費に苦しめられています。監督は、フランスやイギリス、さらに、米国よりずっと貧しいはずのキューバまで足を伸ばし、それらの国では医療費の自己負担が全くないことを知ってしまいます。

 そもそも、医療保険はお金のない人が医療を受けられるように助けるためのものであり、利益を上げるものではないはずです。それにも関わらず、政府がその状況を見て見ぬふりをすることに私は怒りを覚え、この映画がアメリカの医療保険制度を批判するのはもっともだと思いました。しかし一方で、フランスのように医療費ゼロという制度が絶対的に良いのかということも考えさせられました。医療費がゼロということはその他の部分で国民に負担が掛かっているのではないでしょうか。映画に描かれていたことだけではなく、映画の背景にある問題にも目を向けて、調べてみなければいけないと思いました。

 私はこの映画を世界中の政府の方々にみてもらい、保険制度の見直しをしてもらいたいです。しかし、これは政治家だけの責任ではなく私たちにも責任があるのだと気づきました。私は自分のすべきことは何かと考えましたが、保険制度を詳しく知りません。だから、調べてどこがよくないのかはっきりさせ、知識を得るところから始めていきたいと思います。毎日の授業でも先生の話を聞くことによって自分の知識を深めていきたいです。

【甲斐 渚彩】


 私は、この『Sicko』という映画を見終わった後、「一人でも多くの人にこの映画を見てもらいたい」と思いました。世界では、個人や企業の名声や富のために、助かる命が犠牲になっているという現状を知ってほしいからです。

 この映画は、一人の米国人が自分の国の医療制度の中では医療の恩恵を十分に受けることができない人が多いことに疑問をもち、他国ではどうなのだろうかと実態を取材していくドキュメンタリー式の映画です。米国と他国との現状の違いを、歴史的背景や人々の肉声を交えながら明確にしていき、根本的な問題点がどこにあるのかについての監督のメッセージが浮き彫りにされます。

 私はこの映画を見て、「日本はどれほど恵まれているのか」と思い、また、それと同時に「医療の恩恵を受けることのできない人が多い国が世界には溢れている」と痛感しました。日本という恵まれた国で医療に携わっていこうとしている私たちは、十分に医療が受けられない国々との架け橋となり、それぞれの国が自国に合った制度を実現する過程を手助けできる看護職となることを目指す必要があるのではないでしょうか。この大学の一人の学生として考えさせられることが多くあり、医療に対する考えが一転した作品でした。看護学生という視点で、是非、この作品をご覧ください。

【宮城 由佳】