【1年生の岩波新書感想文】 『いまどきの「常識」』
著者情報等 | 香山リカ著、岩波書店、2005. |
寄稿者名 | 1年生 石本 めぐみ(2012年6月) |
本学所蔵 | なし |
本書では、様々な社会現象や言説から、今の社会で「常識」とされていることを浮き彫りにし、それがどのように「常識」とされたのか、そしてその「常識」から見える人や社会の問題などを取り上げている。
いまどきの常識と言われれば、いわば多数決で決めたかのような常識になっているのではないかと思う。マスメディアに左右され、そもそも考える事や疑う事をしないのではないか。情報を鵜呑みにする人が世の中の大半を占めるくらい多く存在するならば、それが「常識」になってしまうわけだから、恐ろしい。そもそも、そんなに簡単に情報に踊らされる人に問題があると思う。つまり、いまどきの「常識」とは、大人たち、所謂世間の人々が作り上げてきた「常識」であると言える。
著者が精神科医ということもあり、本書は心理学的な面に焦点を当てて書かれている。例えば、勉強が上手くいかない、やる気が出ないなど、物事が上手くいかずに滞ってしまったときに、人は周りの環境が悪いだとか自分は病気だなどと適当な理由をつけて正当化したがる。もちろん私もしたことのある一人だが、こうすることによって辛い現実と自己責任から逃れているだけかもしれない。しかし、自分の周りの人が何かに躓いて現実逃避がしたい状況の時、嘘でも「あなたは軽い鬱だから上手くいっていないだけですよ。」と軽々しく気休めの言葉をかけられるのかと言われれば、出来ないと答えてしまう。逆にそう言われることによって本当に鬱になってしまっては元も子もない。マインドコントロールの一種であり、人それぞれだからこそ、『いまどきの「常識」』と呼ばれているのかとも解釈できた。
「いまどきの若者は楽をしたがる」と書かれていたが、それは嘘ではないのかと疑問に思った。ゆとり世代と言われる我々の世代は、確かに上の世代の方と比べてかなり簡単なカリキュラムで学習を進めてきたし、考え方も甘く、怠けているのかもしれない。しかし、メディアに取り上げられるのはごく一部の人の話であって、皆が皆、やる気を失っているのではないと思う。単に私が、自分や自分の周りの人がそうではないと主張したいだけなのかもしれないが、私自身は、将来看護師になる為に、一生懸命勉強して生きた知識を手に入れ、常に自分に何が出来るかを考え行動し、人に対して思いやりを持った人になれるように努力したい。そう思う人たちはもちろんたくさんいるから、若者が皆怠け者であると言われぬよう、一人一人が常に意識を高く持つことによって、どんどん周りに良い影響を与え変化をもたらすのではないかと思う。
本書にまつわる感想ではないが、今回新書を久々に手にしてみて、とてもよく考えさせられ新しく物事を知ることが出来る機会となり、新書にとても興味が湧いた。素晴らしい課題に感謝したい。
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喜多学長が、新入生に課題として出された「岩波新書の感想文」を
シリーズで掲載しています。
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