『空気は読まない』


著者情報等鎌田實著、集英社、2010.
寄稿者名教授 南部 滋郎(2010年7月)
本学所蔵http://opac.jrckicn.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=35354
現代医学の進歩は驚嘆すべきことかもしれないが、その限界を知れば、生きていく上ではホリスティック医学とか看護を模索するようになる。代替療法に目が向く。一方で赤ひげ医師などにも関心と尊敬の念がある(自分にはできないので)。農村医学を起こした若槻俊一(佐久総合病院)、公害原論を書いた宇井純(東大工学部自主講座など)。水俣病とともにある原田正純(熊本大学など)。政治家の田中昭三(足尾銅山鉱毒事件)。がん代替療法の帯津良一(帯津三敬病院)。アフガンで井戸を掘る中村哲(ペシャワール会)。その他もろもろ。そんな中にあるのかと眺めていた鎌田實(著書『がんばらない』で一躍有名となった医師)(諏訪中央病院)が書いた本。地方の赤字病院の臨床医が地域医療に取り組み、また現代医学の限界を探り、総合医療・代替医療に取り組み、緩和ケアを行っている。その人が、今春、産業衛生学会(福井市)で「心と体のがんばらない健康法」と題し、特別講演を行った。私より若いのに、結構ふけて見える、ひねくれたところを隠し丸めた、やさしいじいさん。出自を知り涙。語りにまた涙。患者や地域の人に向き合う姿勢があったかいのでどんどん涙の講演でした。最近頓に涙もろい。チェルノブイリの原発被害の救援やイラクなどでの医療支援についてもさらっと触れていた。その講演会場でこの本に出会った。KYの否定本。【空気ってなんだろう(空気のような看護師を目指す学生の話が載っている)】【空気に流されない】【空気に負けない】【空気をかきまわせ】【空気に染まってみる】【空気を変える】とある。著者が出くわすいろんなすごい人が出てくる。垣間見えるサムシングが生きる希望を生み、あったかい涙となる。後日談:鎌田實が「ジタバタしない」コラム(週刊ポスト)で「どんな状態でも「希望」が必要」と書いていた。どんな希望?この辺が悲しい(泣く理由)。

併読本①『体脂肪計タニタの社員食堂、500kcalのまんぷく定食』:本学のレストランアスティでもカロリー表示のメニューがあればと思う。満腹でも低カロリーが謳い文句のレシピー付料理本。

併読本②『ジモンの肉本』:ダチョウ倶楽部の寺門ジモンなる人物のお店紹介本。偏執的に肉にこだわっている。まっ、B級グルメ本ですが、超高級な歴史ある料理屋も登場。この本が出てからテレビでも続々かような店が取り上げられている。福岡の店はあまり紹介されていないが数件あった。