『きみが見つける物語:十代のための新名作』


著者情報等角川文庫編集部編、角川書店、2008.
寄稿者名3年生 白土 愛弥(2009年1月)
本学所蔵http://opac.jrckicn.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=33985
今回紹介するシリーズは「『本を読め』とは言われるけれど、どの本から手をつけて良いのか分からない」と言う読書初心者の方から、「色んな本を読んでしまって、次の作家に移りたいけど自分に合わない作家の本は手にしたくない」と言う読書家の方まで、幅広く楽しんで頂ける作品集です。

 シリーズは『スクール編』『放課後編』『休日編』『友情編』『恋愛編』の5種類があり、好きな物語から入ることが出来ます。1冊に何名もの筆者の作品が収録されており、「ちょっと合わないかも」と思っても、ページをめくれば他の作品に移ることが出来ます。逆に、一話一話がその作品で完結していないので、お気に入りの作品と出逢ったら、原本を探して続きを読むことも出来ます。むしろ、そうすることによって、この作品集での作家との出逢いが、深められると思います。各シリーズには分かれていますが、本格的な学園・友情モノから、ミステリー仕立てのモノまで、作風は様々です。

 著者は『GOTH』『ZOO』『傷―KIZ/KIDS―』が映画化された乙一や『探偵ガリレオ』『容疑者Ⅹの献身』『流星の絆』など多くの映画化・ドラマ化作品を持つ東野圭吾、『夜のピクニック』が映画化された恩田陸など、今を時めく作家の作品が収められています。

 「『スクール編』とか『友情編』とか、若者向きなんじゃないの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。上記に挙げた著者以外に、浅田次郎や星新一、村上春樹やよしもとばなな等の今も長年愛され続けている作家から、石田衣良、角田光代、宮部みゆき等、現代文学の名手の魅力的な作品が収められています。

 年齢・時代の壁を越えて、『気持ちの疑似体験』することが『本』の魅力ですから、「こんな時期、あったなぁ」「こんな切ない感覚、感じたことあるなぁ」と思い出と共に読みふけるも良し、「この時期、そんな感情が渦巻くんだ」と再発見をしながら読み進むも良し、世代や年齢を気にせず読んで頂きたいです。シリーズ全てが文庫本で持ち運びやすく、どれも1冊ワンコイン(税込500円)なのも魅力です。


 このシリーズであなたの『お気に入り』の作家を見付けてみてはいかがですか?