開催日20111109
テーマHealth care in Pakistan Village ~パキスタン・イスラム共和国パンジャブ州ベハリ県におけるヘルスケア~
講師Usman Ali氏

Health care in Pakistan Village ~パキスタン・イスラム共和国パンジャブ州ベハリ県におけるヘルスケア~

 

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11月9日に、パキスタン・イスラム共和国のパンジャブ州、ベハリ県農業委員会代表Usman Ali氏による講演が行われた。アリ氏は、アメリカ合衆国で経営学修士(MBA)を取得後、世界銀行、USAID、NAFTAなど人道支援と開発に関わる国際機関コンサルタントなどの活動に携わってきている。

アリ氏は、講演において、パキスタンの人口動態、社会経済指標を概括した後ベハリ県の経済発展、教育と健康状態、について述べた。自然に恵まれて、農業が盛んであるベハリ県人口は261万人を超え、しかもその人口の70%以上は郊外で生活をする。この州には様々な民族が暮らす。しかし、言語はパキスタンの共通語であるウルドゥー語とほぼ同じ、パンジャービー語が州の共通語となっている。

ベハリ県における医療事情は貧困や開発などと深く関係しており、限られた医療施設や医療従事者の数などはパキスタンの少ない総保健医療費(対GDP)が背景にある。

イスラム教徒の場合、親が結婚相手を決めるのが一般であるが、若い女性の早期の結婚の原因の一つは経済状況である。女性の地位が著しく低く、女性が深刻な健康問題を抱えている。2008年の妊産婦死亡率は(出生数10万件あたり)201であるが、妊婦検診受診率(最低4回)は12%、避妊普及率8%を超えない。現在20-24歳の女性人口の31%は20歳になる前に妊娠、出産経験をしている。アリ氏はティーンエージャーの妊娠、出産は女性の健康に影響を与えるだけではなく、充分に教育を受けていない若すぎる母親には子育ては困難であって、子どもの健康にも影響を与えると考えられる。

発展途上国の社会経済的指標と健康状態との関連を考える貴重な講演であった。