開催日20101209
テーマ国際救援に携わって~そのきっかけと今後の展望~
講師本学二期生、名古屋第二赤十字病院 国際救援部看護師 平田巳雅氏、 名古屋第二赤十字病院 国際救援部副部長 伊藤明子氏

国際救援に携わって~そのきっかけと今後の展望~

第11回のランチョン・ミーティングを12月9日に開催しました。今回の講師、平田巳雅氏は、本学卒業生(第二期生)で、現在は名古屋第二赤十字病院の国際救援部に在籍中であり、2010年1月にハイチ共和国で発生した大規模地震の救援活動に約5週間従事されました。
今回の講演では、ハイチでの救援活動の概要を中心に、平田氏が国際救援に興味を持ったきっかけから、今後の抱負について具体的に語ってくださいました。出席した学生たちは、自分と同じように本学で学んだ先輩が国際救援活動に携わったという話を聞いて、日々の学習に対する意欲が大いに掻き立てられたようです。

平田氏が国際救援活動に興味を持ったのは、在学中に国や文化を越えた看護の存在を知ったことがきっかけだったそうです。本学の大きな特徴となっている、海外体験学習のスタイルを取る科目「国際保健・看護Ⅱ」の活動の一環として、ミャンマー、タイ、ラオスの3カ国を訪問した体験が、それまで漠然としていた国際救援活動への関心を明確な目標へと変えました。
卒業後、国際医療拠点病院である名古屋第二赤十字病院へ就職し、3年間の臨床経験を積みましたが、国際救援活動に携わりたいという目標は変わらず、現在は国際医療救援部付けの看護師となり、国際救援活動に必要な知識・技術の習得を目指して院内、院外の研修に参加しているそうです。

平田氏が初めて国際救援活動に参加する機会を得たのは、ハイチ大地震に際して、2010年3月から5週間、日本赤十字社第三班の一員として派遣されたときです。
主な活動場所は、ハイチの首都ポルトー・プランスから40kmほど離れたレオガン地区に開設された診療所で、主な業務は、現地スタッフの診療活動のサポート、指導、管理でした。平田氏は、現地の人々と信頼関係構築を重要だと考え、現地の言葉を覚えること、現地のやり方・考え方を尊重すること、現地の人々の話をゆっくり聞くことを心がけつつ活動を行ったそうです。

この体験を通して、平田氏は赤十字の標章を付けて活動することの責任の重さを強く感じました。現地の人々は赤十字のことをよく知っているだけでなく、赤十字に対して厚い信頼を寄せており、期待もしていました。
ハイチでの活動を通して、平田氏は、正しい赤十字活動への理解を深めること、赤十字の一員として活動するための十分な知識・技術を身につけることが重要であると感じ、まずは看護の専門職者として自立すること、実践するだけでなく指導も行えるという意味での「一人前」になることが必要だと考えるに至ったそうです。

平田氏は最後に、後輩に対して3つのメッセージを残しました。それは、「知ること、語ること、考えること」です。平田氏自身も在学中に、本を読んだり講演を聴講したりして知識を広げ、仲間とじっくり語り合い、そして、じっくり考えるということを実践しました。
それが、現在も続く国際救援活動の基盤となっているのだと、講演を締めくくられました。

大学4年間で主体的に学んだことが、現在、明確な目標を持ち、未来の可能性を広げることにつながったことを知ったことは、学生にとって大きな収穫だったと思われます。