開催日20111026
テーマロサンゼルス海外研修報告
講師発表者代表:2年生 吉田美穂

ロサンゼルス海外研修報告

 

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本年度後期の第一回ランチョン・ミーティングが10月26日水曜日に開催され、2011年3月10-15日に行われたロサンジェルスへの研修旅行の成果を参加した学生が報告しました。報告者は、谷さおり、山崎衣織、神岡恵、水口佳名子、吉田美穂、樋口友紀、馬場彩香(以上2年)、松田由紀、真鍋知里、光永あずさ(以上4年)の10名です。

この研修は、英語担当の因京子先生と力武由美先生の企画・引率によるものでした。1年次後期に英語Ⅱの課題として読んだThe Man Who Swam into History の著者で米国の名門カリフォルニア工科大学(カルテック)の歴史学教授であるR.A.Rosenstone 博士に面会し、併せてUCLA大学病院や美術館等を見学し、最終日にはディズニーランドを訪れました。

発表では、日程にそって主な訪問先での経験とそれに基づいて考えたことを報告しました。主な点をあげますと:

① UCLA病院の施設・システムは、病院であることを感じさせないような寛げる環境が整備されている点、業務のためにハイテクとローテクが目的に応じて使い分けられている点が、素晴らしいと思いました。

② 英語力が重要だと痛感しました。美術館では、英語の説明を読むと絵画をよりよく鑑賞することができました。ローゼンストーン博士、カルテックの学生たちと話す機会がありましたが、英語力不足でもどかしい思いをしました。

③ 歴史や日本文化などについての広い知識を持たなければいけないと気づきました。ギャンブルハウスというジャポニスムの影響を受けた建物を見て、19-20世紀の欧米で日本文化への関心が高かったことを知り、自文化について知らないのは問題だと思いました。

④ 自分の生活態度を反省しました。カルテックで会った3人のアジア系の学生は、試験期間中であったにも関わらず私たちのために時間を取ってくれましたが、授業以外に毎日8時間ぐらい勉強していると聞いて、驚きました。

⑤ 人種の入り混じったアメリカ社会の実情を体感することができました。公共バスを利用している人々と美術館やディズニーランドに来ている人々との間には、エスニシティ、生活レベルに明らかな違いがあると思いました。安全性もずいぶん違うと思いました。

⑥ ディズニーランドは、予想通り、楽しかったです!

次に、ランチョン・ミーティング発表の経験を通して感じたことを述べます。これまでは、先生や先輩の発表を聞く側でしたが、初めて多くの人々の前で発表する立場になり、大変緊張しました。しかし、発表を通して研修の経験を深めることができたと思います。

話すことを担当した人からは、「原稿を読まずに発表するのが難しかったけれども、できてよかった!」という声がありました。実は私たちは原稿を読むことを前提に練習していたのですが、因先生からリハーサルの時に「それでは伝わらないよ」とアドバイスを頂き、どうしたらいいのか、全員で考え直しました。そして、原稿をスラスラ読みあげるのではなく、相手の反応を見ながら言葉を変えたり、必要なら繰り返したりして、臨機応変に対応することが重要だという結論に至り、読まずに発表することにチャレンジすることになりました。少し詰まってしまったところもありましたが、最後まで話し終えることができ、読み上げた場合よりもずっとよく伝えたいことを伝えられたと思います。

もう一つ、普段自分は物事について掘り下げて考えていないという重大な問題が見つかりました。ランチョン・ミーティングで話すことが決まり、研修のことを思い出そうとしたとき、何を見て何の話を聞いたのかは簡単に思い出せたのですが、その時に自分はどう考えたのか、ぼんやりとしていたのです。一緒に行った友達や先生と話す中で、ああそうだった・・と少しずつ思い出しましたが、このことを通して、何か見ても自分はただ見るだけで何も考えていなかったと分かりました。授業の中で理論を教わったり、先生の意見を聞いたりすることがよくありますが、そうした場合にも、自分はそれをどう捉えるのか、掘り下げて考える習慣をつけたいと思いました。

反省ばかりになりましたが、考え直すべき点か見つかり、よい経験となりました。今後もこうした行事に参加する機会があれば、自分を伸ばすチャンスだと思い、積極的に活動したいです。

発表者代表:2年 吉田美穂

<付記>

ランチョン・ミーティングでの発表は、学生の持つ潜在力を感じさせてくれた。一つは、研修から教師が思う以上に様々なことを感じ取っていたことである。一例を挙げると、現地での移動には敢えて公共バスや電車を多用したのだが、これは、安全確保への意識を芽生えさせ、英語で情報を得ながら歩く経験をさせようと考えたからであった。しかし、こうした私どもの思惑を超えて、学生たちは、公共バス利用者と美術館来訪者との間にある格差をも感じ取り、米国社会への考察を深めていた。また、発表を準備する過程でも成長振りを見せてくれた。実は、皆の都合が合わず、予行演習を当日の朝一度しか私は見ていないのだが、本番の発表と朝の予行との間には雲泥の差があった。発表者の話しぶり、視覚資料の両方において、私の指摘にただ従っただけでなく、大いに発展させていた。もちろん、さらに改善が必要な点も残ってはいたが、発表する姿を見ながら、学生たちがその花の茎を伸ばす音が聞こえるように思った。

この研修を実現させるには、全学の様々な方にご協力いただき、大学から頂戴する個人研究費も使わせていただいた。研修に御協力くださった皆様と発表の機会を与えてくださった委員会、当日聴いてくださった皆様に、厚く御礼申し上げる。