開催日20100629
テーマハイチ大地震における医療チームとしての派遣経験について
講師本学大学院一期生・熊本赤十字病院看護師 浦上友美氏

ハイチ大地震における医療チームとしての派遣経験について

 

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6月29日に本年第6回目のランチョンミーティングが行われた。今回の講師、浦上友美氏は、熊本赤十字病院に勤務する看護師で、本学大学院の一期生であるが、2010年1月のハイチ大地震後に日本赤十字社が派遣した国際救援医療チームの一員として2月末から約2ヶ月間、現地で活動に携わった。
現地の様子を伝える数々の写真を見せながら語られた、帰国してまだ日の浅い浦上氏の経験談は、約50名の学生をはじめ、参加者全員に深い感銘を与えた。

ハイチ共和国を1月12日に襲った地震はM.7.0、これによる被害は今世紀最大といわれる。浦上氏は、被災者の生活状況、医療チームの行った診療活動・予防接種活動・巡回診療活動などを概説する中で、それらの活動において看護職者が担う役割、日常の業務との違いをわかりやすく説明してくれた。一日一日がどのように過ぎていくのか、他の国際機関から派遣されている人々との価値観の違いにいかに驚かされたかなど、経験者ならではの語りに聴衆が思わず身を乗り出すこともたびたびであった。
最後に浦上氏は、赤十字の「人道の原則」に触れ、被災者たちは悲惨な状況におかれているのではあるが、その人々を「希望をなくした人」としてではなく「尊厳ある人」として救援する事が重要であると述べて講演を終えた。以下は、参加者の気持を代弁してくれる、1年生の一人による感想文である。

第6回ランチョンミーティングに参加して (1年生:坂本愛)

今回のランチョンミーティングではハイチでの救援活動に携わった浦上さんのお話を聞いて、医療救援活動において看護師がどんな役割を果たすのか、他国の赤十字社および現地ボランティアの人々とどう協力していくのかなど、興味深いことを数多く知ることができました。
最も深い印象を受けたのは、行動規範を心に刻むことの大切さを指摘した浦上さんの言葉です:「被災者を、希望をなくした人ではなく、尊厳ある人として認識しているか?と自らに常に問いかけることが本当に大切です」・・・私はこれまで、テレビで被災した人々を見ると「かわいそうだなあ」と思っていました。
しかし、「救護してあげる」という姿勢は被災者の方々の尊厳を傷つける恐れがあると知り、一方的な関係を想定しないように気をつけて看護を行うことが大切なのだと気づきました。今後もランチョンミーティングに参加しさまざまなフィールドの方々のお話を聞いて、見識を広めていきたいと思います。