文化と文明について書こうと思いついたのは半年ほど前だったので、この題材についての内容は頭にあったのですが、一応、ネットで調べてみました。すると「文化と文明」というタイトルで、いくつものサイトが見つかりましたが、わたしが思っていたのと少し違っていて戸惑いました。
「文化」については、わたしが考えていたのとあまり違いがなかったのですが、違っていたのは「文明」でした。文化を精神的なものとするのに対し、文明は物質的とするサイトが多かったのです。つまり「文明の利器」のような感覚ですね。でも、ここでわたしが書きたいのはそういうことではないのです。文化に優劣はないけれども、文明には「程度」があるらしいということです。
わたしがこのことに気づいたのは、アメリカ留学中のことでした。アジアのある国からこどもの頃に移民としてアメリカに来て、そのままアメリカ人として生活している人です。その人が「ここ(アメリカ)はみんな交通ルールを守るけど、わたしの国では駐車禁止の場所にも平気で駐車するし、Double parking(路上に2台並んで駐車すること)もするし、カオスなのよ」と言うので「それは、ルールがないの?それともみんなが守らないの?」と聞くと「両方だと思う」と言い「Level of civilization」と言ったのです。そのときに、ああ、文明にはレベルがあるんだな、とちょっと驚きました。というのは、ちょうどその頃、LeiningerのTranscultural nursingについて勉強しているときで、それぞれの文化は尊重されなければならない、と思っていたので、その国の文化を否定するようなことばにどきっとしたのでした。
ルールを守らないのは、そこの文化なのでしょうか。それとも文明度の低さなのでしょうか。病院で看護師として働いていた時、いくら説明してもお願いしても、病院のルールを守らない患者さんやご家族がいて、医療者は対応に困り、へきえきしていました。ですが、わたしは誰にも言いませんでしたが「ああ、このひとたちは生まれたときからそういう価値観で育ってきたんだろうな。同じ日本に住んでいても、異なる文化で生きているんだろうな」と思ったものです。
一方で、ある学会で「日本で臓器移植が進まないのはなぜか」ということが話題になったとき、いわゆる臓器移植先進国のひとが「それは文明が遅れているからよ。もっと文明を発展させれば解決するわ」と言ったという話を本で読んだことがあります。
文化と文明、みなさんはどう考えますか?世の中はますます多様性を増しつつあります。ひとりひとりが考えていきましょうね。