第12回国際フォーラム「国内災害救護の実践者から学ぶ~国内で活躍する看護師の人材育成に焦点をあてて~」を開催しました

赤十字運動月間である5月に、国際フォーラムを開催いたしました。気候変動による災害は、国内外で多発しています。今回は「国内災害救護の実践者から学ぶ~国内で活躍する看護師の人材育成に焦点をあてて~」とし、熊本赤十字病院 前副院長兼看護部長 東智子氏と福岡赤十字病院 看護師長 中島法美氏に講師としてご講演いただきました。お二人の講師からは、熊本地震災害や令和2年豪雨災害での被災地の病院での対応と、被災者への災害救護(こころのケアを含む)の経験をご講演いただきました。

東氏は、震源地に最も近い災害拠点病院で急性期の災害対応のご経験から、災害に対する職員の意識づけ、様々な災害対応研修・訓練の参加の機会、過去の災害活動から得た知見により熊本地震を乗り越えることができた、看護職にはニーズを掘り起こす力(観察・分析力)が必要であるとお話いただきました。

中島氏は、被災から3カ月が経過した熊本地震災害でこころのケアを行ったご経験から、病棟異動により多くの診療科(高齢者看護、認知症ケア・小児看護)が災害救護において役立った、こころのケアの対象との関係つくり(寄り添う、傾聴)、赤十字のマークによる効用、そして状況のアセスメント能力が重要であり、日々の看護実践で培われる、とニーズを掘り起こす力の大切さをお話いただきました。

また、本学の小川学部長より、本学における「災害看護」の取り組みが紹介され、学生によるまちの課題解決プロジェクトの一環である地島での取り組みについて学生からの報告もありました。

フォーラム後半では、フロアの教員を含め、国内で活躍する看護師の人材育成をテーマにディスカッションを行いました。人材育成で重要なことは、大学教員としてできることは、気づきを深めるには、などディスカッションを行いました。

今回のフォーラムを通して、無関心・認識不足・想像力の欠如・利己心は、赤十字の原則である「人道」を阻害するものであり、まずは関心をもつこと、「見る、観る、看る、診る」能力を高め、生活する人に焦点をあて状況をアセスメントし、学んだ知識を活用し、想像力を使って考え、自律して行動できることが、人材育成において重要であるという認識が共有されました。

本学のモットーである「ひとりを看る目、その目を世界へ」について改めて考える貴重な機会となりました。

2023.05.25国際フォーラム①
熊本地震 病院での災害対応のご経験を語られる東 智子氏
 

2023.05.25国際フォーラム②
熊本でこころのケアを行ったご経験を語られる中島 法美氏
 

2023.05.25国際フォーラム③
花束贈呈の学生と