2020年度 学長室便りNo.4 「大切な命へのまなざし」を忘れないで

「大切な命へのまなざし」を忘れないで

 世界の誰もが想像しなかった数か月を私たちは過ごしてきました。
新入生の皆さんにとっては、大学生生活の実感を十分に味合うことができないまま、学修に追われる日々を過ごしていると思います。もちろん、上級生の皆さんも同じだと思います。皆さんが、それぞれの立場で、日常を取り戻し、自身を鼓舞して勉学に励まれていることに敬意を表します。

 この間、大学ではオンラインによる学習環境の整備、対面授業に伴う感染予防対策の強化に努め、皆さんが安心して学習を進めることができよう様々な対応をしてきました。しかしながら、生活環境や学習環境が変わる中で、経済的な負担を感じている方は少なくないと思っています。
 そのため、本学では、これまでに、学生が安心して学業に励むことができるよう、国からの特別定額給付金や日本学生支援機構による奨学金の緊急支援などにより経済的支援を必要としている学生の皆さんに対する対応をして参りました。これに加え、本学独自の支援策として、学習環境の変化に伴うインターネット環境の整備や、学習資料の整備による経済的負担を軽減し、学生の学習の促進を目的として、全学生を対象に、支援金を給付することを計画しています。この学修基金に関しては、今後、募金活動として継続して行く予定です。

 短い夏休みを終え、皆さんは多様な演習や実習に取り組みます。キャンパスでの対面学習、臨床やフィールドにおいて患者や地域で暮らす人々に対するケア実践を展開します。これまでのオンライン学習を中心にした状況では、自身の感染予防対策に注力をしてきましたが、これからは、さらに、人々の健康を守る立場にたち、ケアの対象である患者や地域の人々に対する感染予防対策に心して取り組んで頂きたい。
 基本は、自分自身の健康管理と感染予防対策の徹底です。この基本を守ることこそ、ケアの対象者の健康を守ることと言えます。実習前には、県を超えての移動、会食、イベントへの参加など感染リスクを高める行動は厳に慎んでください。ケアの対象となる方々は、高齢や慢性病など易感染性が高い状態にあり、もしも皆さんが新型コロナウイルス感染症に罹患し、濃厚接触者となった場合、命の危険に曝されます。看護専門職として、常に、「大切な命へのまなざし」を忘れないで感染予防対策に取り組んでください。

 「With コロナ」の生活が続き、先が見えない不確かさに押しつぶされないように、日々の生活の中に、小さな楽しみや喜びを見つけましょう!私は、この所、よく空を見上げるようになりました。先日は、鱗雲の中を紅に近い夕日が沈んでいく空に感激しました。自然は私たちを優しく包んでくれていることを感じ嬉しくなりました。皆さんの体験も聞かせてください。

2020年9月9日
学長 小松浩子