国際看護コース・短期留学生との合同研修「赤十字活動Ⅱ」を終えて

私たち国際看護コース所属の5名は7月4日から7月23日までアイルランガ大学(インドネシア)3名(うち1名は教員)、ラ・ソース大学(スイス)2名の学生とともに災害について学びました。今回の研修テーマは、「各国の災害発生状況や災害対策を学び、静穏期に私たちができることは何か」を考えることです。

1週目は災害についてのディスカッション、高齢者体験などを学内で行い、2週目に、福岡赤十字病院、大島診療所の見学、大学周辺の地区踏査を行いました。また、宗像大社や鎮国寺へ赴き、留学生とともに宗像の歴史について学びました。

7月16日からは京都工芸繊維大学大学院も合流し、宗像市大島で研修を行いました。大島は一昨年7月に世界遺産に登録されたこともあり、外国人を含む観光客が増加しています。日本人だけでなく外国人観光客も視野に入れた災害対策を考える必要があります。大島での研修内容は、外国人観光客の目線から避難を考えるというものでした。大島の観光マップは日本語表記のものしかなく、指定避難所の記載もありませんでした。また、島内には十分な標識もありません。留学生たちは日本語のマップだけを頼りに観光スポットから避難することになり、ルートの選択や道に迷ったりし、避難までにかなりの時間を費やしました。今後は、ワークショップで明らかになった課題への対応について島民の皆さんとともに検討し、改善に向けた活動を行う予定です。

大島ではワークショップ以外にも、七夕まつりで使用する竹灯篭の作成や地域の高齢者が自主的に行っているラジオ体操に参加しました。七夕伝説発祥の地と云われる大島の竹灯篭作りは、島の歴史を知り島の行事を継承するだけでなく、地域住民の結束力を高めます。また、ラジオ体操は、高齢者の日々の運動習慣となり、全身の筋力の維持向上、さらに災害時に自立して避難できるという自助能力の向上につながると考えます。大島は高齢化率40%以上と超高齢社会でありながらも、このような活動を通して自助、共助の力を高める様々な活動を実施していることがわかりました。

留学生や京都工芸繊維大学大学院生とのディスカッションから、災害による被害を最小限に留めるためには、安全・安心なまち・コミュニティづくりが必要であること、人が健康であること、地域での住民同士のつながりを強めること等、自助や共助の力が重要であり、それは国や地域が異なっても普遍的であることを確認しました。

赤十字社は災害時に最も必要とされる組織であります。私たちがその一員であり、災害時に人々の命を救う立場であることを改めて自覚した研修でした。

国際看護コース4年 久枝 綾音、松本 由梨絵

 
2019.07.26①赤十字活動Ⅱ 2019.07.26②赤十字活動Ⅱ
写真左:「各国の災害対策」についてのディスカッション
写真右:大島でのラジオ体操

2019.07.26③赤十字活動Ⅱ 2019.07.26④赤十字活動Ⅱ
竹灯籠づくり
2019.07.26⑤赤十字活動Ⅱ 2019.07.26⑥赤十字活動Ⅱ
写真左:大島での避難経路のシミュレーション
写真右:京都工芸繊維大学大学院、ラ・ソースの学生との集合写真