国際保健・看護Ⅲ 国際交流協定校 研修報告 

国立アイルランガ大学(インドネシア共和国)(2/24~3/10)

森は、「インドネシアにおける高齢者看護の実際を知り、その中での看護師の役割や今後高齢化が進む看護について考察する。」をテーマに研修を行いました。インドネシアは他のアジア諸国と同様に急激な人口増加が起こっている国の1つであり、今後日本と同様に高齢化が進むと予測されていることをふまえこのテーマを設定しました。

日本の診療所と保健所の機能を併せ持つインドネシア独自の施設であるプスケスマスへの訪問や月に1度実施される検診や住民への教育「ポシアンドゥ」と呼ばれる活動に参加しました。また、病院とコミュニティが協働で実施している健康体操を見学し、それと同時に行われている健康教育を通して、コミュニティを基盤とした高齢者のエンパワメントを支援する取り組みを学びました。現在、日本でも高齢者を地域で包括的に支援・サポートする体制の構築が進められていますが、インドネシアの地域が主体となって継続的に高齢者の健康を支援する仕組みは参考にすべきものであると考えます。各施設、他職種と連携において中心的役割を担うこと、対象者が生活する地域のニーズに合った支援を提供することが看護師の重要な役割であることを学びました。

身寄りのない高齢者のための看護施設やハンセン病施設を見学し、経済状況や周囲からの偏見によって生活が困難である人々を支援する仕組みについても学ぶ機会がありました。また、貧困地域で取り組まれている女性や若者の活動の話を聴き、自らがおかれている環境を改善させることがコミュニティの状況を改善し、さらにコミュニティの力を高めるということを学びました。

今回の研修では、人々が日常的にアクセスする医療施設だけでなく普段は行くことのできない施設も訪問させていただくことができました。今回の学びを周囲の人達と共有しながら、この経験を生かして勉学に励みたいと思います。

 

ラ・ソース大学(スイス)(3/1~3/18)  

久枝は「禁煙教育における看護師の役割とは」をテーマに研修を行いました。喫煙は様々な疾患を引き起こし、喫煙による健康障害は世界共通の問題です。しかし、喫煙者はニコチン依存症により禁煙を行うことは難しく他者による長期的な支援が必要となります。そこで私は研修を通して喫煙がもたらす影響や禁煙教育における看護師の役割を考察するためにこのテーマを設定しました。

喫煙は個人の自由であり、個人の責任であるという考え方はスイスも日本も同じでした。しかし、スイスでは公共施設での禁煙規制はなく、受動喫煙対策は日本と比較するとはるかに遅れている状況でした。多くの人々が受動喫煙にさらされていることに加え、喫煙年齢に制限がないことがたばこへのアクセスを容易にし、若いうちから喫煙が習慣化する環境にあると考えます。また、スイスには世界三大たばこ企業の本部があり、国の経済を支えています。喫煙には様々な因子や課題が影響し、医療従事者の力だけで喫煙を制限することは困難です。しかし、医療従事者は人々の健康を支援する役割を担っています。まずは私たち看護学生が将来人々の健康を保持・増進していく立場であるという自覚を持ち、喫煙について考える必要があるといえます。

松本は「抑制をしない看護」というテーマで研修を行いました。日本では、抑制廃止に向けた取り組みが行われているにもかかわらず、緊急時や必要に応じて実施されていることがあります。身体的抑制のない看護を実現するためにはどうすれば良いのかを考察するために、このテーマを設定しました。

ラ・ソース大学の実習施設である総合病院を見学し、抑制について質問しました。この病院では身体的抑制は行われておらず、患者に過度の興奮や暴力的行為が見られる場合のみ患者の安全と看護師やスタッフの安全を守るという目的で鎮静薬が使用されます。鎮静薬を用いることは医療行為とみなされ、治療に対する同意があれば特別な説明と同意を必要としません。日本では身体的抑制を行う際、医師が抑制の目的や方法などを説明し、患者もしくは患者家族から同意を得る必要があります。認知症患者に徘徊がみられる場合は、転倒を防ぐための対策を講じます。しかしスイスでは、徘徊は認知症の症状で自然な現象とされ、徘徊する患者の意思を尊重し徘徊を止めません。また、もし患者が転倒しても誰も責任を問われません。徘徊に対する考え方に相違はありますが、スイスも日本も患者の利益を尊重した対応を行っていると考えます。 しかし、高齢者は転倒すると骨折等を生じこともあり、その治療は患者に苦痛を与え、ADLの著しい低下につながります。スイスでは身体的抑制は自由の尊重という面から行われていませんでした。しかし薬剤を用いた鎮静も身体的抑制と同様に患者の行動を制限する行為であると考えます。抑制のない看護を実現するためには、まず抑制とはなにか考え、決められた規定に従うだけでなく目の前の患者の最善の利益を考えた手段を選択することが大切であると考えます。

今回の研修では異文化看護の大切さについても学びました。スイスは人口の約3割が他国からの移民です。文化の違いから自分が行なった看護が相手に不安や苦痛を与える場合もあります。ラ・ソース大学では異文化の看護ケアを学ぶ授業が行われており、病院では様々な言語に対応したパンフレットがあったり、患者の通訳やサポートチームをつくったりなどの対応がされていました。今後、グローバル化に伴い私たちも文化の異なる患者と接する機会が多くなると考えます。異文化を理解し尊重した看護を提供できる看護師になれるよう今後も学業に励んでいきたいです。

4年 森駿哉 久枝綾音 松本由梨絵

1.現地の先生方と学生との集合写真

現地の先生方と学生との集合写真

2.ポシアンドゥでの健康体操

ポシアンドゥでの健康体操

3.心電図の授業の様子

心電図の授業の様子

4.学生が演習に使う薬剤のレプリカ

学生が演習に使う薬剤のレプリカ

5.国際連合ジュネーブ事務局にて

国際連合ジュネーブ事務局にて