国際保健・看護Ⅲ 国内医療施設での研修報告

私たち国際看護コース5名は、「国内外の健康問題を多角的に探究し、保健医療、看護の役割・課題について考察する」ことを目的とする国際保健・看護Ⅲのプログラムで、各自が興味関心のあるテーマをもとに研修を企画し実施しました。研修先は国内の医療施設もしくは国際交流協定校です。

 国内医療施設での研修報告【A島診療所(3/4~3/15)】

大字は、「A島の一次予防に対する診療所の取り組みを学ぶ」ことをテーマに研修を行いました。島で唯一の医療施設である診療所は島民の健康管理に果たす役割が大きいと考え、このテーマを設定しました。A島は人口の約半数が高齢者であり、高齢者への保健活動が比較的充実しているように思われました。しかし、高齢者が注目される反面、島民の残り半分を占める乳児期から成人期にある島民を対象とした、健康に関する取り組みをはじめとする社会支援とその情報提供の機会が不足しているように感じられました。それは、乳幼児を育てる複数の女性に島での生活について話を聞いたことや学校給食保健委員会に参加したこと、診療所に訪れる成人期の患者の様子をみたことから、若年層を対象とした健康教室や利用しやすい相談先などが不足していると考えました。さらに私がこの世代に注目した訳は、離島という環境要因が関係して特定の疾患の罹患率が高まる傾向にあることや、人と人の距離が近いことで生まれるストレスなど、離島であることが負の面で島民の生活に影響していると考えたからです。

先に述べたように、高齢者への保健活動は充実しており、コミュニティを含めた他機関が連携して活動し、これはA島の強みであると考えます。この強みを生かし、島の住民の半数を占める乳児期から成人期の島民を対象に、健康に関する一次予防に取り組むことが、島で安心して住民が暮らすための診療所の役割であると考えます。

今回離島における診療所と看護職者の役割について考察した10日間の研修を通し、さらに離島での医療と看護職の役割に興味を持ちました。研修で築いた島民の方との関係を大切にし、7月にも今回とは異なるテーマで行われるA島での実習をより学びの多いものとしたいと思います。

佐々木は、「離島で生活する高齢者の健康を支える診療所の役割を学ぶ」をテーマに研修をしました。我が国の高齢化率は27.3%と超高齢化社会に突入しているなか、A島は高齢化率が46.2%と島民の半数が65歳以上の高齢者です。高齢者が住み慣れた地域で健康課題を抱えながらも生活するために診療所がどのような役割を果たしているか考察することを目的に今回の研修を行いました。

A島診療所を受診する高齢者の大半は生活習慣病で治療が必要であり、複数の薬を併用している人が多くいました。服薬自己管理ができない高齢者が多く、薬の一包化やお薬カレンダーを作成することで対応していました。わが国では地域包括ケアシステムが推進されています。A島でも住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的となって医師や看護師、ケアマネージャーや介護士などの多職種が連携して高齢者が島で生活できるようにサポート体制を整えていました。私はこの状況を見て診療所の役割は、高齢者が島で最期までその人らしく生活できるように多職種連携を図り医療を提供することであると考えました。A島は密居で近隣住民のつながりが強かったという話をうかがいました。しかし高齢化とともに交流が少なくなり、現在はその繋がりが薄れつつあります。そのため民生委員や地域の組合等が地域住民のつながりの強化を図る必要があると思います。さらに専門職がA島の医療・福祉・介護に関する情報を住民に提供して地域住民同士で助け合える環境を整えることも必要だと思います。

A島の現状は日本の将来と類似している部分があると思います。高齢者が1人で生活することは容易ではありません。周囲の人が高齢者のニーズを把握し、支援を選択・提供していく必要があります対象者の背景を考慮し、多職種と連携をしながら支援を提供できる看護師になろうと考えた研修でした。今回の学びをもとに学習に励みます。

国際看護コース 4年 大字菜々子 佐々木彰子

2019.04.10 診療所の外観(診療所名消)
A島診療所の外観

診療所内での診療の補助
A島診療所内で診療の補助をする学生