第1回災害看護セミナー「災害時に私たち病院はどう動けるのか―熊本地震から学ぶ―」を開催しました

はじめに、田村学長より今回の災害セミナー開催の趣旨説明がありました。本学では昨年の熊本地震を契機に、学長指定研究として災害看護に取り組み、いくつかの研究成果を発表しています。そのほかに地域を含めた防災の取り組みも計画しており、今回のセミナーはその計画の一つであることを説明されました。

第一部では熊本市立熊本市民病院の2名の看護師長を講師に招き「熊本地震~被災を経験して、今伝えたいこと~」という内容で体験をお話しいただきました。また、本学が実施した「被災地域の医療施設に勤務する看護師が震災後に体験した困難さに関する調査の概要」も発表いたしました。

熊本市民病院は耐震基準を満たしていない南館に病棟があり300名近い全患者を避難させなければならなかったことや、広域災害医療情報システム(EMIS)を早い段階で「倒壊の恐れ有り」と入力したことで、外部支援県内外から受け入れることができ県内外へ患者搬送が行われた様子をお話しいただきました。震災により多くの看護師、医療技術職は休職や院外へ研修派遣されているそうです。2019年の新病院開業に向けて職員の垣根を取り払い、一丸となって再建に取り組んでいるという報告もありました。

第二部は第一部をふまえて、「自分たちの施設が被災したら、現在の準備で大丈夫?」と題して意見交換会を行いました。多くの参加者が「自施設にはマニュアルがあっても使えるものではない」「自分たちが避難しなければいけない状況が考えられていない」現状などが話されました。講師からは「実際に災害を経験した病院でも全体の災害への意識を高めることが難しい。看護師は様々な職種をつなぐ役割があるので、顔がみえる関係づくりをしながら、レクチャーなどを活用して地道な努力が必要である。」とコメントをいただきました。

今回のセミナーは看護職、事務職、市役所の方の参加があり、今後のネットワークづくりの機会にもなりました。

最後に、復興再建の大変お忙しい中、貴重な体験をお話しいただきました熊本市民病院の看護師長お二方に深く感謝申し上げます。

 

2017.9.23①災害セミナー
開会のあいさつ

2017.9.23②災害セミナー
講演の様子

2017.9.23③災害セミナー
意見交換会

学長指定研究担当 大重、菅原