第6回国際フォーラム「フォレンジック看護とは?-What is Forensic Nursing?-」を開催しました

本学オーヴァルホールにおいて、第6回国際フォーラム「フォレンジック看護とは?」を開催しました。今回は、日本ではまだ十分に認知されていないフォレンジック看護について国内外の4名の講師の方々にお話しいただきました。

第Ⅰ部ではフォレンジック看護の先駆者であるバージニア・リンチ氏より、アメリカにおけるフォレンジック看護師が臨床実践家として果たす、性暴力被害者支援や死亡捜査に対する役割と責任について説明があり、看護師の介入がこの分野に不可欠な要素として認識されるまでの経緯をお話しいただきました。

次に米山奈奈子氏より、日本におけるフォレンジック看護領域では、性暴力被害者支援看護、DV被害者支援看護分野において、ワンストップセンターや、一部の産婦人科病院で活躍しつつあると報告がありました。しかし、証拠採取については看護師に認められておらず、看護者が被害者支援のための擁護者としての役割を果たせていないこと、法的知識が十分でないなどの課題について述べられました。

第Ⅱ部ではキタ幸子氏より、妊娠中の暴力が、出産後に母児に長期間続く健康問題を発生させることが報告され、被害妊婦には妊娠初期から行う積極的で継続的な心理支援・養育環境の選択が必要であると述べられました。

最後に加納尚美氏より、日本の性暴力被害者支援看護師養成講座の実際について、性暴力は当事者の声が届きにくく、実態が見えないという現状を理解した上で、暴力被害を身近な生活問題ととらえなければならないこと、そして、社会全体で支援する取り組みをしなければ暴力被害は無くならないことが強調されました。また、今年7月に性犯罪に関する刑法改正が行われたことは、様々な人の草の根活動の結果であり、性暴力被害者支援チームSANE(Sexual Assault Response Team)の活動については、ガイドラインの作成、認定制度と更新制度を作ることにより、さらに発展させていくことが必要であると述べられました。

参加者からは「非常に興味深かった」「興味を持ったことがないテーマを新しく知ることができてよかった」など高評価をいただきました。リンチ氏も講演中に述べていましたが、今回の講演を機会に多くの方がフォレンジック看護について関心を持ち、今後も学んでくださることを期待したいと思います。

2017.08.31①国際フォーラム
学長・国際看護実践研究センター長の挨拶

2017.08.31②国際フォーラム
バージニア・リンチ先生 講演の様子

国際看護実践研究センター