「災害と看護」避難所訓練を体験して

11月28日、「災害と看護」の演習として、日本赤十字社福岡県支部、赤十字防災ボランティア、宗像市の方々にご協力、ご指導をいただきながら避難所訓練を行いました。

今回の訓練は4月に発生した熊本・大分地震の教訓を生かし、大規模災害が発生した場合の本学での被災者の受け入れを想定したものです。訓練にあたり、学生は被災者と看護師役に分かれました。被災者役の学生は、各自が年齢や性別、疾患、社会的な背景などの設定を決め、役になりきりました。看護師役の学生は被災者の受け入れと情報取集、物資の配給、被災者のニーズの把握、傷病者の手当てなど、看護師役を担当した学生の中で役割を決めて被災者の対応・看護にあたりました。また、被災者への食事の提供を想定し、炊き出しも行いました。

体験を通して、避難所を訪れる被災者のニーズには、安全、衣・食・住、プライバシーの保護と尊重、現在の状況に関する情報の入手などがあることを理解することができました。看護師はこれらを予測し行動しなければならないと考えます。災害各期においてニーズは変化していくため、被災者に寄り添い、被災者が何を求めているのかを傾聴し、ニーズを把握していくことが求められます。看護師役の学生の大半は、「準備はしていたが、全くうまくいかなかった」「もっとチーム間で協力できれば」と述べていたました。

炊き出しでは、赤十字防災ボランティアの方から指導をいただき、お米と水を袋に入れごはんを炊き上げる方法を学びました。米と水の量の調整や袋の結び方が意外に難しく苦戦しました。また、ガスボンベを用いて大きな釜で湯を沸かすこともはじめての経験でした。メニューはごはんとカレーで、ごはんは多少硬いものもありましたがおいしく頂きました。災害時の食事は重要であり、温かい食事はたとえ一瞬でも被災者の心と空腹を満たし、活力を与えることにつながるのではないかと考えました。

この訓練を通して、看護師は自分に何ができるのか、何をすべきなのかを判断する力、看護師間だけでなく他の医療従事者や赤十字のスタッフ、市の職員、ボランティア、被災者と密なコミュニケーションをとり、チームで協働する力を身につけることが必要であると実感しました。

私たちは来春から、それぞれ異なる場所で看護師として働くことになります。赤十字の大学で学んだ者として、災害があった際には今回の体験を生かし、自助・互助・共助・公助の機能と役割を理解し、積極的に活動できる看護師になりたいです。そのためには普段から赤十字のスローガンである「人間を救うのは人間だ」ということを意識し、人とのかかわりを大切にした看護実践をしていきたいと思います。

最後に、訓練では様々なご支援ご指導をいただきました日本赤十字社福岡県支部の皆様、赤十字防災ボランティアの皆様、宗像市地域安全課の皆様に深く感謝申し上げます。

4年生 砥綿 亜実

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本部で情報の共有、集約を行う様子

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被災者を体育館へ誘導

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炊き出しをする学生