平成28年度 学長室便りVol.3 「チームで働く力」について

9月も終わりに近づきました。学生の皆さんはそれぞれ夏休みを有意義に過ごしたことでしょう。4年生の皆さんにとっては学生時代最後の夏。特別な思い出ができたでしょうか。

今年はリオデジャネイロでオリンピックとパラリンピックがありました。皆さんもそれぞれ好きな競技や選手の活躍に大きな声援を送ったことでしょう。オリンピック競技開始の初日に飛び込んできたのは、水泳の400m個人メドレーで萩野選手が金、瀬戸選手が銅メダルという嬉しいニュースでした。パラリンピックでは、多様な障がいを持った選手たちの活躍に、人間の限りない可能性を強く実感しました。特に、人生の途中で障がいを受けた人にとっては、障がい受容プロセスを生きる中で障がい者スポーツに出会い、自分の価値を再発見する貴重な過程を経た結果でもあったのだと思うと、国籍を問わず応援していました。そしてその結果にも多くの感動がありました。

リオと日本との時差は12時間なので、ライブで視聴できるものは限られていましたが、私は幸運にも男子400mリレーをライブで見ることができました。バトンパスの練習を念入りに行っていることは聞いてはいましたが、あのウサイン・ボルト選手と日本のケンブリッジ・飛鳥選手が並んで走る光景は全く想像していませんでした。100mを9秒台で走る選手が誰もいない日本チームが、2位でゴールに飛び込んだのには驚き、大喜びをしました。陸上競技とは無関係な人生を送ってきた私にとっても、この銀メダルの獲得は深い感動を与えてくれました。アジア新記録ともなったこの“勝利”の要因は、日本チームのバトンパスのうまさと、必ずバトンを渡してくれるという選手間の強い信頼感にあったと報道されていました。選手の卓越した技、チームメンバー相互の信頼、それを培ったトレーニング。これらがメンバーの力の総和をはるかに超えた結果を生み出したのです。

さて、今日の高度に専門化した医療の現場では、多職種がそれぞれの専門性に基づいて役割を果たし、患者のQOL向上という目標に向かって協力・連携していく「チーム医療」が求められています。その中で、1日24時間365日、常に患者の傍にいる看護師は、もっとも患者の心身の状態を把握している職種であり、それゆえに「チーム医療のキーパーソン」とも言われています。また超高齢社会を迎えて、地域包括ケアの実現が叫ばれていることからもわかるように、医療に限らず保健、福祉の現場においても「チーム」を抜きにして活動を語ることはできません。

本学のディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)においても「チームで働く力」を身につけることを掲げています。今一度、ここに挙げて、確認してみましょう。

1.他者と自己に違いがあることを前提として、多様性を魅力であると受け止め、他者を理解しようとする態度を身につけている。
2.専門職集団の中で自分の果たしうる役割を理解し、集団の力の最大化に努める。
3.自分とは異なる見方や意見を柔軟に受け止めて受容し、チームとして調和を図ることができる。

このような「チームで働く力」は学内でのグループ学習、臨地実習、サークル活動、ボランティア活動など様々な場面で身につけることが可能です。皆さんがやがて看護師や保健師として臨床や地域で働くようになり、チームの力を最大限に発揮すれば、オリンピック400mリレーのメダリストたちのような輝かしい成果を生み出すに違いありません。大いに期待しています。

2016.9

記:田村 やよひ