専門性強化実習I(レベルV実習)Good Practice賞 授与式

先日、専門性強化実習Iにおいて、主体的に実習の企画と実施を行い、優れたレポート記述を行った4年生3名にGood Practice賞が授与されました。
受賞者3名は、専門性強化実習Iの指導教員より推薦された後、4年次の実習科目を担当している教員らによる厳粛なる審査の元に選ばれました。その後、全教員の賛同を得て表彰が決定しました。これらの内容は、来年1月5日、3年生のレベルVオリエンテーションにて紹介される予定です。
3年生、2年生、1年生のみなさんも、3名の先輩が計画/実施した実習を超える有意義な実習が展開できるよう頑張ってください!

受賞者の言葉です。
21201030 金城麻未
私は「離島における救急医療の現状を理解し、その中での看護師の役割を学ぶ」ことを目的として、沖縄県の小浜島にある小浜診療所で3日間、石垣島の八重山病院で2日間の計5日間、実習を行いました。小浜診療所では、診療所の看護師と医師、事務の方から各々の業務内容と救急時の対応、八重山病院との連携についてのお話を聞き、実際に診療の様子を見学しました。また、島を歩き、住民の方とお話しをすることで、島での生活の様子を垣間見ることができました。八重山病院では、救急外来で看護師のシャドーウィングを行い、沖縄県の病院や八重山諸島の診療所との連携、石垣島の救急医療の体制についてさまざまなお話しを聞きました。
今回の実習を通して、患者と医療者が密接であること、島に唯一の医療者であるからこそ広い役割が求められることを学びました。また、島に住む一人一人の命を背負う医療者の責任を重く感じました。しかし、患者一人を最初から最後まで見ることができ、本当の意味で生活を支える地域に根ざした医療は島だからこそできる医療なのではないかと思いました。これらにより、さまざまな資源が限られているなかでの医療と看護師の役割は何か考えることができました。
専門性強化実習?は、計画書の作成から実習施設との調整をほとんど自分で行います。それはとても大変で、実習中は目的を見失いそうになり、悩むこともありました。しかし、自分の興味のあることについて調べ、実施可能な計画書が徐々に出来上がってくると胸が高まりました。また、実習中は、事前に準備していた計画書や資料をもとに、受け入れて下さった施設の方やさまざまな人に支えられて実習を終えることができました。離島で学んだ患者さんと向き合う姿勢を今後に活かしたいと思います。

20101012 岩下向陽
私は、「プレパレーションによる看護ケアを中心に小児看護における看護展開能力を磨く」ことを目的に実習に臨みました。小児看護領域を選択した理由は、レベル4小児看護実習でプレパレーションを実施したのですが、子どもに治療の理解を促すことは想像以上に難しく、十分な実施ができなかったため、改善点を踏まえたうえでもう一度実施したいと思ったからです。実習期間は5日間で、幼児期前期の子どもを2人受け持ちました。
1人目に受け持った子どもは、手術を行う日が、実習の2日目でした。そのため、計画書のスケジュールでは3日後にプレパレーションを実施する予定だったのですが、急遽、予定を変更して実習の初日に行うことになり、情報が少ない中での実施だったのでかなり焦りました。しかし、プレパレーションや小児看護に関する事前学習をあらかじめしっかりと行っていたので、術前から術後における手術の流れを紙芝居を使って子どもに伝えることができました。2人目に受け持った子どもには点滴ルートの確保後、固定に使用するシーネに好きなキャラクターを描いて渡すというプレパレーションを行いました。処置後はしばらく不機嫌な様子だったのですが、シーネに描いたキャラクターを見せて腕につけると嬉しそうに笑顔を見せてくれました。
専門性強化実習Iは、学生が主体となる実習ですので、計画書の作成から看護展開まですべて自分で行わなければならないので大変なこともたくさんあります。しかし、興味・関心や自己の課題に基づいて、自分でやりたい実習を選択することができるため実習での学びや終わった後の達成感はとても大きなものになると思います。これから実習を行う皆さんも充実した実習が行えるようにぜひ頑張ってください。

21201074 長谷川絢美
私は「ハンセン病療養所で生活する入所者を身体・心理・社会的側面からだけでなく、環境・文化・歴史的側面から統合的に捉え、入所者を取り巻く医療の現状と課題、看護の役割を学ぶ」ことを目的に、沖縄県にある国立療養所沖縄愛楽園で二週間実習をさせて頂きました。私は入所者のQOL(生活の質)は何であるのか、そのために看護は何ができるのかという疑問を持って実習に臨みました。私の受け持ちは、ハンセン病の後遺症で手指の欠損・拘縮と四肢の肘膝下は感覚が麻痺した全盲の女性で、沖縄愛楽園で70年以上生活されている方でした。その方は、触覚と視覚がない中で、太陽の光や風を感じることを大切にし、感謝の気持ちを持ち、穏やかな生活を送っていました。対象者のQOLを捉えることは簡単ではなく、その方が何を思い、望んでいるのかを私自身も五感を使って考えました。また、その方が発する一つ一つの言葉を丁寧に拾うことを心掛けました。多くの入所者が沖縄愛楽園を「終の棲家」と決めています。沖縄愛楽園での生活が、「その人らしく」いれるような場所を作り、人生を終えることができるように支援することが看護の役割であると考えました。
私は沖縄愛楽園で実習をさせて頂くまで、ハンセン病療養所という場所に暗いイメージを持っていました。しかし、療養所は入所者や職員の方々の笑顔に溢れていました。現在は、ハンセン病という名前すら聞いたことがない人が増え、ハンセン病も風化しています。実習の中で「差別や偏見をされることよりも、興味を持たれないことが一番辛い」という言葉が心に刺さりました。ハンセン病元患者の方が体験してきた辛い経験を二度と繰り返さないためにも、多くの人にハンセン病について知ってほしいと思います。