国際保健・看護Ⅱ 海外研修 ベトナムに行ってきました

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私たちは201383日から10日まで、国際保健・看護の海外研修でベトナム社会主義共和国を訪問しました。

まず、事前学習としてベトナムの政治・経済、保健医療・看護の実情、紛争や災害について調べ、それらをふまえ、今回の研修内容や見学したい施設を決めました。

ベトナムでは、本学の連携校であるナムディン看護大学と実習施設、ベトナム赤十字社ならびに関連施設、JICAベトナム事務所、バクマイ病院、地域のヘルスセンター、枯葉剤の被害による障がい児施設などを訪問しました。

ナムディン看護大学では、日越混合のグループでの事例検討と演習を行いました。言語の壁もありましたが、「伝えたい」「知りたい」「話したい」という思いで積極的に臨みました。不消化な部分もありますが、日本とベトナムの看護の相違や共通について学ぶことができました。夜には夕食会を催し、日本の歌やダンスを披露して盛り上がりました。短い時間での交流でしたが、お互いの成長と再会を約束しました。

病院訪問では、1つのベッドを2、3人の患者さんで共有することが当たり前であることに驚きました。安全面や倫理的なことを考慮すると疑問が残ります。しかし、ベトナムでは地域医療の整備が遅れているため、患者さんは病院に来ます。したがって、病院は空床がなくても入院の必要な患者さんを受け入れざるを得ない状況にあること、また、それが政府の方針でもあることを知りました。しかし、病棟では患者さんや家族から文句が出る様子もありませんでした。家族を第一に考えるベトナムの人々だからこそ受容されているのだと思います。そしてそれは他者への配慮にも通じているのだと考えます。ベトナム北部の中核病院であるバクマイ病院を訪問した際、青年海外協力隊の一員として活動されている看護師さんのお話を聞く機会がありました。その中に「根拠は質すけれども、生活を尊重する」という言葉がありました。患者さんにとって、「医療の場は生活の場でもある」と私たちは学校で学びましたが、ベトナムでは、それが当然のこととして存在していました。日本のような医療システムが整備されることは必要ですが、状況に応じて柔軟に対応していくことの大切さも学びました。

ベトナム赤十字社やJICAベトナム事務所の訪問では、それぞれの事業概要についてうかがい、日本の技術とベトナムの高い向上心が融合することでベトナムの環境・経済・医療がより良いものになっていくのだということを理解しました。

今回の研修では、どこでも温かく受け入れていただきました。また、日本と異なることについて多くの質問をしましたが、ひとつひとつ丁寧に答えて下さいました。ベトナムの人々の温かさと寛容さに触れることで、人と人との繋がりを大切にしなければならないこと、そしてそのことは、看護や国際協力には不可欠であることを改めて実感しました。たくさん学び、考え、そして感動した実りある研修となりました。