災害看護学導入支援プロジェクトのフォローアップのためにインドネシアのバンダアチェを訪問しました

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2月8日キャンパス日記掲載のJICA調査団に同行させていただいた後の本学アチェ研究班の報告です。

本学は、2005年来、日本赤十字社のスマトラ沖地震・津波復興支援の一環として、同看護部と合同で、バンダアチェの4看護専門学校における「災害看護学」導入支援を行いました。2009年、プロジェクト終了後には、日本赤十字学園の研究資金などを得て、そのフォローアップを行っています。今回の訪問では、「災害看護学」とその教育の定着と発展を促すためにセミナーを実施し、カリキュラムが導入されている4看護学校と今後の活動について協議しました。

今回初めて訪問した私(橋爪)は、アチェ空港での各看護学校教員の笑顔の出迎えと、ほほを寄せ合っての挨拶、わいわいと近況を報告しあう学長や上村准教授の姿から、このプロジェクトがしっかり根付き、強固な人間関係ができていると実感し、訪問の当初から感激しました。

4学校では、他の3学校の教員を含め協議や意見交換が行われた他、学内見学と講義の場が設けられていました。学生たちは、学長の災害看護概論や今後の発展についての講義を真剣に聴き、質問にも丁寧に答えました。また、積極的な質問も多く、災害看護に対する知識と関心が深まっていることがうかがえました。協議でも、災害看護がカリキュラムとして定着していること、更なる充実を目指していることが分かりました。

上記プロジェクトの間、4学校が設立した「災害看護フォーラム」の活動調査も目的の一つでした。元々、ほとんど交流や接点のなかった4学校が一つになり、積極的に交流活動していることは、フォーラム主催セミナーが日曜日であったにも関わらず、州保健省や病院関係者を含む多数の方が参加し、最後まで活発な意見交換が行われ大盛況だったことからも理解できました。フォーラムメンバーは、私たちとともに保健省へも足を運び、積極的に新たなパートナーシップを築こうとしており、今後の活躍に期待が高まりました。

このプロジェクトは赤十字の復興支援事業として始まりましたが、津波からの復興という面では、アチェは日本よりも先を走っているとも云えます。津波直後には、インドネシアになかった「災害看護学」がこの地で生まれ、育ち、そしてインドネシア全体に広がりつつあります。今回、さらに世界にも広がる可能性すら感じました。調査で明らかになった課題もありますが、アチェの人々の努力によって解決できるだろうとの確信と、たくさんの学びを持って帰国しました。今後も大いに協力し、お互いの国の人々のために、看護を通じて貢献できればと思います。